生産量が減少している芭蕉布の価値を科学的に検証し、産地支援や文化の保存につなげようと、沖縄科学技術大学院大学(OIST)は22日、琉球大学と共同研究した製造工程の調査結果を発表した。原料となるイトバショウの茎の部分がストロー状で風通しの良い構造になっていることや、その後の木灰汁(もくはいじる)で煮出す工程などで糸を丈夫にしていることを証明した。

「ウー炊き」後の維管束の拡大図(一般社団法人繊維学会提供)

イトバショウの特徴などについて説明するOISTの野村陽子研究員(右)ら=22日、県庁記者会見室

「ウー炊き」後の維管束の拡大図(一般社団法人繊維学会提供) イトバショウの特徴などについて説明するOISTの野村陽子研究員(右)ら=22日、県庁記者会見室

新繊維作成の可能性

 芭蕉布に使われるのは、イトバショウの茎を裂いて取り出した原皮の比較的堅い部分。この原皮の内部組織「維管束(いかんそく)」を電子顕微鏡で5万倍に拡大して観察したところ、ストローのように中身が空洞な形状になっていることが判明。汗や水分を吸収しやすく、蒸発させやすいことが分かった。

 また、原皮を木灰汁で煮出す「ウー炊き」と呼ばれる作業をすると繊維の強さが増し、肌にかゆみをもたらす「シュウ酸カルシウム」も減少することも分かった。

 OISTサイエンス・テクノロジー・グループの野村陽子研究員は、芭蕉布の糸をさらに詳しく研究することで「他の繊維と合成し、新たな性質の繊維を作り出せる可能性もある」と話した。

 イトバショウの生産者不足などから、需要があっても芭蕉布を作れない現状があると説明。琉球大学の諏訪竜一准教授は「製造の特徴を科学的に示すことで、栽培のポイントや効率的な生産法の確立に役立つ」と述べた。

 同研究では今後、製法のさらに詳しい調査や栽培法の検討を進めていく。