低体重で生まれた三つ子、人工ビーチでふ化したウミガメ、アーケードから下りられなくなったネコの救出劇…。今年は米軍による事件・事故が相次いだ一方で、懸命に生き抜く「小さな命」の記事が話題を呼んだ。2017年ハッピーニュースでは、記者が命の現場の今を歩いた。

1歳の誕生日を迎えた(左から)楽ちゃん、栞里ちゃん、幸ちゃん(謝花さん提供)

海へと向かうウミガメの赤ちゃん。人工ビーチで産卵・ふ化した際の課題に関心が高まった=7月30日、豊見城市・豊崎美らSUNビーチ(管理会社提供)

高さ約7メートルのアーケードの梁を移動するネコ=9月15日、那覇市牧志・平和通り

救出の様子を見守る通行人ら

1歳の誕生日を迎えた(左から)楽ちゃん、栞里ちゃん、幸ちゃん(謝花さん提供) 海へと向かうウミガメの赤ちゃん。人工ビーチで産卵・ふ化した際の課題に関心が高まった=7月30日、豊見城市・豊崎美らSUNビーチ(管理会社提供) 高さ約7メートルのアーケードの梁を移動するネコ=9月15日、那覇市牧志・平和通り 救出の様子を見守る通行人ら

低体重で生まれた三つ子の赤ちゃん 家族そろって初正月だぞ~

 沖縄市の謝花誉幸(たかゆき)さん(43)と妻理江さん(40)との間に昨年9月、体重わずか575~1045グラムで生まれた三つ子の赤ちゃんが元気に育っている(7月31日掲載)。現在、1歳3カ月になった次女栞里(しおり)ちゃん、長男幸(こう)ちゃん、次男楽(がく)ちゃんは6~8キロまでに成長。理江さんは「昨年の暮れは息子2人がまだ入院中だった。今回、家族6人そろって初めての正月を迎えられることが何よりもうれしい」と目を細めている。

 三つ子が生まれたのは2016年9月23日。特に楽ちゃんは575グラムの「超低出生体重児」で、医師からは「命を落とすかもしれない」とまで言われていた。だが、懸命な処置で約3カ月半後に退院した。

 8月には謝花さんらの呼び掛けで、県内で同じ年に生まれた三つ子の赤ちゃんの家族計6組が集合。育児の悩みなどを打ち明ける場を設けた。

 その後、理江さんは母親6人でLINE(ライン)グループを作って育児情報を交換。それぞれの赤ちゃんの写真を投稿したり、クリスマスプレゼントの購入はどうするのかなど、今どきの方法で子育てに奮闘中だ。誉幸さんは「3人そろってすくすく元気に育ってくれていることに感謝。長女の千幸(ちゆき)も喜んでいる」と笑顔で話した。(中部報道部・比嘉太一)

人工ビーチでウミガメふ化 環境を考えるきっかけにも

 アイドルグループ「AKB48」のシングル選抜総選挙が予定されていた豊見城市の豊崎美らSUNビーチで6月、ウミガメの産卵が確認された(6月6日付)。ふ化率は「良好」だったが、イベントによる騒音や振動が成長に影響しないか、明るい環境で海に向かえるのかなどといった人工ビーチが抱える課題にも注目が集まった。

 NPO法人日本ウミガメ協議会の若月元樹さん(43)は、欧米諸国では生物の扱いに関心が高いと説明。「県やビーチ管理者、ホテル業者は対応策も学んだ方がいい」と訴える。

 7月30日と8月3日の2回、ふ化が確認された。7月に卵からかえった場所のふ化率は95%。8月のふ化率も「同程度」と若月さんは推測する。

 県内には人工ビーチが多く、ふ化したウミガメが自動販売機などの明かりに誘われて陸側に向かい駐車場でひかれる、側溝に落ちて死ぬなどの問題が起きている。8月にふ化したウミガメにも、海と陸を行きつ戻りつした個体がいた。

 若月さんは「ウミガメの卵は県漁業調整規則で、県知事の許可なく触ることはできない。産卵を確認したら、ビーチ管理者などは速やかに専門機関に助言を求めた方がいい」と話した。(南部報道部・又吉健次)

平和通りアーケードから下りられなくなったネコ 今も元気だニャン

 那覇市牧志の平和通りで高さ約7メートルのアーケードの梁(はり)から下りられなくなり、消防隊員に救出されたネコ(9月17日掲載)。地域の人によると、今も元気だという。

 犬猫殺処分ゼロを目指して活動する「TSUNAGU OKINAWA」の畑井モト子代表(37)は当時、救出劇を見守った1人。那覇のまちぐゎー周辺に住み着くネコに詳しく、救助されたのは不妊手術を受けた「さくらねこ」の雄という。その印で耳がV字型にカットされ、桜の花びらのように見えるのが特徴だ。「どちらかといえば人見知り。落ちないか、ひやひやだった」と振り返る。

 救出の記事は全国の動物愛護団体にシェアされ、反響も大きかったという。畑井さんは「小さな命を見過ごさず、多くの人が無事を祈って見守った。まだまだ捨てたもんじゃないと思った」。最近も元気な姿を地域で見かけ、目を細めた。

 救出時はびっくりしてか、猛スピードでその場から去ったネコ。実は商店街にある近くの体験工房に逃げ込み、店の4階にある商品棚に隠れて震えていたという。那覇市環境衛生課の職員と一緒に、保護に当たった店員の南翔大さん(21)は「衰弱していたのでその後がずっと気になっていた。元気だと聞いて何より」と喜んだ。(社会部・山城響)