沖縄空手

伝統守り、神髄求めて 上地流空手道振興会関東関西連盟 上原勇総師範に聞く

2018年1月1日 12:01

 「武とは矛を止める道なり。己の心に打ち勝ち、心身を修養するものなり」。上地流空手道振興会関東関西連盟の上原勇総師範(78)は、師であり、父である上原三郎氏(那覇市出身、1900~65年)の教えを心に刻み、50年以上にわたり東京で上地流・伝統空手の普及に心血を注いできた。現在は沖縄に戻り、後進の育成に当たりながら「まだまだ現役」と上地流の神髄を求め、伝統の技を磨いている。(社会部・西里大輝)

米軍の下士官クラブの演武大会でその場で跳躍し二段蹴りでの瓦割りを披露する上原勇氏(中央)=1959年、那覇市内(本人提供)

空手への思いを語る上原勇氏

上地流の受け流しの指導を行う上原勇氏(右)=那覇市小禄の上地流空手道振興会本部道場(喜屋武綾菜撮影)

上地流10周年記念の演武大会。前列左から4人目が上原勇氏で同2人目は兄・武信氏。2列目の左から5人目は父・三郎氏で、同6人目は友寄隆優氏、同7人目は上地流2代目の上地完英氏=1959年7月、那覇市内(本人提供)

米軍の下士官クラブの演武大会でその場で跳躍し二段蹴りでの瓦割りを披露する上原勇氏(中央)=1959年、那覇市内(本人提供) 空手への思いを語る上原勇氏 上地流の受け流しの指導を行う上原勇氏(右)=那覇市小禄の上地流空手道振興会本部道場(喜屋武綾菜撮影) 上地流10周年記念の演武大会。前列左から4人目が上原勇氏で同2人目は兄・武信氏。2列目の左から5人目は父・三郎氏で、同6人目は友寄隆優氏、同7人目は上地流2代目の上地完英氏=1959年7月、那覇市内(本人提供)

 父・三郎氏は、上地流開祖・上地完文氏(本部町出身、1877~1948年)の高弟で、兄は県指定無形文化財「沖縄の空手・古武術」保持者の上原武信氏(87)。身の回りに空手があり、幼少期から三郎氏の空手を毎日のように見続けてきた。10歳で本格的に空手を始めたときには型はすべて覚えていたといい、稽古も現在まで欠かしたことはない。

 1963年に上京。24歳で商事会社に勤務した。上京しても神社などで稽古を続け、そのことを知った県出身者らが勇氏に指導を求めてきた。26歳で道場を開設。以来、三郎氏から徹底的に教え込まれた上地流の伝統空手を崩すことなく、また「どんなことがあっても人に手を出すな」という父の言葉をかたくなに守り続け、指導に当たった。

 勇氏は言う。「武とは矛を止める道なりと、父はよく口にしていた。自分に常に打ち勝てと。沖縄の『いじぬんじらーてぃーひき、てぃーぬんじらーいじひき』(腹が立ったら手を出さないようにし、手が出そうになったら心を静めなさい)という言葉があるが、まさにそれですよ。指導者には、こういう言葉を付け加え、指導に当たってほしい」

 68年間、空手に打ち込んできた勇氏だが、「これだけ空手をやっていても、まだ父親を超えられていない」と語る。「父は本当の武人だった」。現在、兄・武信氏の道場(上地流空手道振興会本部=那覇市小禄)で自身の鍛錬とともに子どもたちの指導に当たる中、「武人としての姿を子どもたちに見せていきたい」という思いは強い。それは三郎氏ら武人の先輩の姿を見て、空手を学んできたゆえの思いだ。

 だからこそ現役にこだわり、父の背中に追い付けるよう愚直に空手道に精進する日々を送る。

 「子どもたちが目を輝かせて稽古し、学んでいって、上地流の技をきちんと身に付ける。それができるようになったときには、ようやく父に肩を並べられるのだと思う」

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