社説

社説[トランプ氏差別発言]見識と資質に強い疑問

2018年1月14日 08:40

 トランプ米大統領が「くそったれ国家」と発言したとされる問題で、抗議の声が世界で広がっている。

 米紙ワシントン・ポストなど米メディアによると、トランプ氏が超党派議員らと移民制度を協議した会合で、アフリカ諸国やカリブ海の島国ハイチから来る移民の多さに不満を募らせ、「くそったれ国家から、なぜ多くの人がここに来るのか」などと侮辱的な発言をした。

 「屋外便所」や「肥だめ」を意味する「shithole」(シットホール)という言葉でおとしめた。トランプ氏はツイッターで「きつい言葉だったが、この言葉ではなかった」と否定したが、出席した議員は「大統領はくそったれを含む憎悪に満ちた差別発言を繰り返した」「米国を白人社会に引き戻そうとしている」などと証言した。

 この発言が事実であれば、「人種差別主義者」というほかない。トランプ氏には「きつい言葉」の中身を明らかにしてもらいたい。

 名指しされたアフリカ諸国の国連加盟全54カ国の大使らは謝罪を求める共同声明を発表した。当然である。欧州では国連人権高等弁務官事務所の報道官が「人種差別をなくそうとする世界の普遍的な価値観に反する」と批判した。

 ハイチを巡っては2010年に発生した大地震後に約6万人が米国内に避難してきているが、トランプ氏は昨年12月、ハイチ人は「皆エイズ」と発言したと報じられた。

 トランプ氏の大統領としての見識と資質を改めて疑う。

■    ■

 対照的なのは北欧ノルウェーへの対応である。首相と会談したばかりでトランプ氏は会合で「ノルウェーのような国からもっと人を招くべきだ」と語ったという。白人は歓迎するという意味である。

 思い出すのは昨年8月、米バージニア州で白人至上主義団体と人種差別反対派が衝突した事件である。

 トランプ氏は「両者に非がある」と人種差別を容認するような発言をした。白人至上主義団体を批判した後だっただけに「本音が出た」と受け止められた。

 移民・人種差別発言は大統領選のさなかから繰り返している。メキシコ移民について「麻薬や犯罪を持ち込んでくる。彼らはレイプ犯だ」、カリフォルニア州の銃乱射テロを受け「イスラム教徒の米国入国を全面的、完全に禁止すべきだ」などと語っている。

 自身が人種間の憎悪と偏見をあおり、社会の分断と対立を増幅させてきたのである。

■    ■

 多くのアフリカ人が奴隷として米国に連れて来られた。

 トランプ氏の発言は、公民権運動指導者キング牧師ら先人たちが営々と築き上げてきた差別撤廃と平等の理念を逆回転させかねない。

 米国は多様性とそれを認める寛容さで、社会全体の活力を養ってきたのだ。

 トランプ氏は就任から間もなく1年を迎える。メキシコの壁建設計画や、イスラム圏からの入国を禁止する大統領令を出し、地球温暖化対策の「パリ協定」から離脱した。米国を見る世界の目が大きく変わった1年だった。

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