みなさん、はじめまして。
那覇の牧志の商店街でファイナンシャル・プランニング(以下、文字数を稼いでいると思われるのもシャクなのでFPとさせていただきます)の事務所を営んでおります福田昌也と申します。
FPってなんですか?
FPに相談するほどお金ないよ?
FPって保険屋さんでしょ?
FPってどうやって食べているのですか?

と、まぁ世間の認識はまだまだでもあり、我々FPの側からしても、なかなか表立って活躍しているFPが少ないのが現状なので、この場を借りてゆっくりとこれらのお話もさせていただければ幸いです。
昨年、本を自費出版するにあたり、沖縄タイムスさんのクラウドファンディングを利用させてもらったご縁で、この場で「なにかコラムを書いてみませんか?」という提案をいただきました。
で、記念すべき第1回(最終回かもしれませんが)のテーマは年始にバッチリの「セルフメディケーション税制」についてのお話です。
最後まで読んでいただいた方々に幸せが訪れますように・・・。
「セルフメディケーション税制」の本名は「医療費控除の特例」です。
なんでいきなり政府は聞きなれない横文字をぶっこんでくるのか?
答えは簡単です。
人は「はぁ?」「なにそれ?」と興味を持ったことを頭に入れてくれるからです。
今年から「医療費控除の特例」が始まりました!と言われても「はぁ、そうですか」で終わりです。
たとえば「iDeCo(イデコ)」はindividual-type Defined Contribution pension planの単語の一部を親しみやすい言葉に並べ替えて・・・ん?そもそも「iDeCo」が何なのかの話でしたね。
個人型確定拠出年金です。←このネーミングだと流行らない臭いがプンプンしますね。
この説明はまた連載が続けばお話します。
また、「NISA(ニーサ)」も個人の貯蓄口座を意味するもので、毎年一定額の金融商品からの利益を非課税にしてもらえるものですが、本来20%(復興特別所得税は割愛)かかる税金がずっと半額で済んでいた「上場株式等の配当所得にかかる軽減税率の特例」及び「上場株式等の譲渡所得にかかる軽減税率の特例」があまりにも普及しなかったため、まるっと非課税で親しみやすい「NISA(ニーサ)にしようと!」したのではないかと私は思います。
制度としては毎年120万円枠のNISAより前の上限無しで税金半額キャンペーンの方が太っ腹な制度だと思うのですが、皆さんはどう考えます?
さて本題に入ります。
日本はとにかく人口が減っていきます。
なぜでしょうか?
それはFPがよく言う「子ども1人産んだら1,000万円以上かかる」からとか、ライフプランニングと称した未来予想図を描き、恐怖に震えた相談者を生命保険に加入させるからでしょうか。
FPに相談したら、教育資金の準備や老後の生活費の不安ばかり並べ立て、不安をあおる割には巨額の借金をさせて住宅ローンを勧めたり・・・。
そりゃ子作りに励んでいる場合じゃないと思いますわな。
あまり正直に思いつくことを書くと、また書き直しさせられる(笑)。
人口が減るということは交通渋滞も少なくなり、もともと低い食料需給率の改善にもつながるでしょうし、なにより環境に優しそうですね。
しかし、人口が減るということはお年寄りが増えるということです。
大事な一票を持っている、投票所によく行く世代を敵に回していたら選挙では勝てません。
そんなわけでこの国はずいぶん社会保障費が増えております。
現役世代は年金保険料が毎年上がるし、受給額は毎年減るし、ボチボチ受給開始年度も先へ延ばされそうな気配。
あげくには年金などの運用リスクを個人に移転する「確定拠出年金」の台頭。さきの「確定給付企業年金」とは全く別の制度です。
あ・・・
また話が脱線してきたので修正。
で、増える社会保障費を少しでも水際で抑えるために「風邪ひいたくらいで病院いかんと、自分で全額自己負担の薬をドラックストアで買って飲んで、直してくださいね」という「セルフメディケーション」という考え方が生まれたのでしょう。
素晴らしい。
子どもがちょっと熱あるだけで、救急車呼んで大騒ぎする大人がおるからこんなことになるねん。そんなに行きたきゃタクシーで行け。
と、35億人を敵に回すことは露ほども思っておりませんのでご安心下さい。
さて、本来ある医療費控除のおさらいをしておきましょう。
医療費控除とは所得(給料から一定の控除を引いたり、事業で得た売上から経費を引いたりして算出した儲け)からそれぞれの方の事情にあわせて(たとえば生命保険の一部や扶養している一定の年齢の家族がいる場合など)差し引ける14種類の所得控除の一つです。住民税では13種類。
病院で負担した費用や、処方された薬剤など1年間にかかった費用から10万円(合計所得金額が200万円に満たない場合は総所得金額の5%)を差し引いた額が所得控除として所得税の計算や住民税の計算で適用されます。
例えば所得300万円の人(扶養家族を含む)が1年間(1月1日から12月31日まで)に30万円の医療費を使ったとすると・・・
30万円(医療費)- 10万円 = 20万円(所得控除)
課税所得が300万円の人の所得税の税率は10%なので・・・
本来は
300万円 × 10%(所得税税率)=30万円(所得税)
のところ・・・
(300万円 ― 20万円)× 10%=28万円(所得税)
と、2万円税金が安くなります。
住民税も2万円、復興特別所得税も420円、安くなります。
まぁまぁ、大きいですよ。これは。
しかし、若い世代ではあまり10万円を超える医療費を1年で支払うことが少ないので、若者向けに、親しみやすい「セルフメディケーション」が生まれました。
セルフメディケーション税制の目的を厚生労働省のホームページ(HP)で調べると・・・
「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)は、健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人が、平成29年1月1日以降に、スイッチOTC医薬品(要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品)を購入した際に、その購入費用について所得控除を受けることができるものです」とあります。厚労省のHPはこちら。
健康維持への一定の取り組みとは、簡単に言えば健康診断や予防接種です。それらに取り組んでいる個人が1年間の間に「スイッチOTC医薬品」を買えば、所得控除の対象にするよ。ということです。
「スイッチOTC医薬品」(※Over The Counter オーバー・ザ・カウンター、対面販売)とは、もともと医師の処方がなければ買えなかった医療用医薬品を薬局やドラックストアなどで購入できるように転用したものです。
最近では陳列されている商品に「医療費控除対象」のマークが入っているものも目立ちます。
購入後のレシートにも★のマークなど記載されますので、申告の際も分かりやすそうですね。
今までの制度と違う点は、ドラッグストアでもその対象商品があり、10万円の壁は1万2千円と大きく下がりました。
例えば所得300万円の人(扶養家族を含む)が1年間(1月1日から12月31日まで)に3万円のスイッチOTC医薬品を買ったとすると・・・
3万円(薬代)-1万2千円 = 1万8千円(所得控除)
課税所得が300万円の人の所得税の税率は10%なので・・・
本来は
300万円 × 10%(所得税税率)=30万円(所得税)
のところ・・・
(300万円-1万8千円)× 10% = 298,200円(所得税)
と、1,800円税金が安くなります。
住民税も1,800円、復興特別所得税も37円程安くなります。
ん? なんだか先の医療費控除とくらべて小さいなぁと感じる方も多いと思いますが、私はイイことだと思います。
なぜ?
それは、この小さな制度も受けるためには自分で確定申告をしなければいけないからです。
面倒くさいと思う方もいるでしょう。
なぜ、面倒くさいのでしょうか?
答えは簡単。
自分で自分が働いた結果を申告できない人が大半だからです。
大切なお金の申告ができないなんて問題だと思いませんか?
面倒くさいのではなく、できないのです。
この制度をきっかけに、レシートを集め、家計簿をつけて、お金と向き合ってみてください。
分からないこと、つまり知りたいことができたときに、人の頭の中には知識が流れ込みます。
これからこの国はますます、自己責任の時代へ突入していきます。
そんなときに守ってくれるのは知識です。
しかし、世の中にはその知識を悪用した様々なビジネスがはびこっています。
そんなときに頼れるのは自分です。
あと僕(笑)。
2018年は皆さま、いっぱいお金の勉強しましょう!