子どものころ、大好きだった冒険アニメの舞台がスウェーデンだったことを知ったのはつい先日。物語は鮮明に覚えているが、描かれた国に思いを巡らすことはなかった。試験で国名を問われたらまず解けなかった

▼この問題もそう。大学入試センター試験の地理の出題。フィンランドに関するアニメの舞台と言語の組み合わせを選ぶもので、波紋が広がっている

▼アニメ「ムーミン」とフィンランド語との選択が正答だが、ムーミンの舞台といってすぐ浮かぶのはやはり「ムーミン谷」。さてどこにあったか

▼フィンランド大使館は「皆さんの心の中にある」とコメント。大阪大大学院の研究室は原作に明示されていないとして「断定できない」と問題設定に疑問を投げた。受験生でなくてもどこか腑に落ちない「難問」だ

▼試験では、関連するキーワードから正答を導く思考力を問われることがある。教科書に載っていなくても、多分野への興味や関心など、アンテナを張り巡らして得る知識力や考察力も試される

▼こうした力の重要さを思い知らされると同時に、受験生の困惑も理解できる。センター試験は2020年度から記述式や民間試験を導入するなど装いを新たにする。信頼性もより問われることになる。ユニークな問題はいいが、疑義を招くような設問はなくしてほしい。(赤嶺由紀子)