友人や同僚と繰り出して居酒屋で飲むビールの味が、少しほろ苦くなるかもしれない。オリオンビールが飲食店など業務用に販売するビール類を、4月から値上げする。人件費高騰や物流コストの上昇が主な原因で、すでに大手4社も値上げを発表している
▼ビール5社の2017年の出荷量は4億407万ケースと前年より2・6%減り、最低記録を13年連続して更新。市場はピーク時から3割も縮小した。ビール離れが止まらない
▼オリオンビールの県内出荷も減少傾向が続く。沖縄を訪れる観光客は増加の一途だが、クルーズ船の客は夕方には出港し船内で食事をするケースが多く、需要に結びついていない
▼若者のアルコール離れや、ビールからチューハイ、ハイボールなどへの好みの多様化の動きも加速している。ビールの値上げ額は店によって幅がありそうだが、店主からは「客足が遠のいてしまう」と心配する声も聞こえてくる
▼県内では人口当たりのアルコール性肝疾患による死亡率が男女ともに高く、特に男性は全国の約2倍。長寿復活を目指す県が、適度な飲酒量を呼び掛けていることも業界には逆風と映る
▼お酒は一度に大量に飲めば体に負担をかけるが、適量であれば「百薬の長」。定期的な検診や運動などを通じて、お酒と長く良い関係を築けるかが問われている。(知念清張)