2015年8月の着陸失敗事故から運休していた第一航空(本社・大阪)の那覇-粟国便が再開して、22日で1週間が過ぎた。4月以降の運航は不透明だが、島民には、医療や学校行事などに使う「生活の足」として継続を望む声がある。(南部報道部・堀川幸太郎)

第一航空の那覇-粟国路線で約2年5カ月間の全面運休を示した時刻表=10日、粟国空港

 粟国村浜の特産品店を切り盛りする金城實さん(80)は昨夏の夜中、肺炎を悪化させてヘリで本島に運ばれた。不調の兆しはあったが通院をためらった。旅客船は1日1往復で、片道約2時間20分。島を午後に出る便に乗れば那覇着は夕方。翌日の通院で、午前に那覇をたつ船には乗れない。「少なくとも2泊3日、店を閉めるか迷う間に症状が重くなった」という。

 住民709人、高齢化率37・79%(ともに昨年末時点)の村。保健師の垣花幸子さん(28)は「虫歯やけががあっても、宿泊費がかさんだり、船が苦手だったりして通院を諦めるお年寄りは少なくない」と話す。

 第一航空が運休中は、県と村が補助するヘリもあったが、不定期な上、定員5人で乗りたいときに必ずしも乗れるとは限らなかった。

 粟国診療所長の内科医、與那覇忠博さん(33)は「乗る時間が短くて済む飛行機は医療の選択肢を広げる」と期待する。

出場見合わせ

 粟国小中学校はバドミントン、リコーダーの県内大会で優秀な成績を誇る。だが悪天候で船が欠航し、大会出場を見合わせたことがある。村によると、欠航率は他の離島の倍近く、年間約60日に及ぶ。

 粟国に戻る船が出ず、引率教諭が本島で場所を借りて授業をしたことも。濱川栄優校長は「飛行機は通常通り授業を進め、延泊に伴う出費などを防ぐ一助になると思う。保護者の不安もあるので飛行機と船便で利用グループを分けるなど配慮は必要」とみる。

離島苦訴える

 「また飛行機がなくなるの?」。粟国空港の売店で働く与那則子さん(61)は客の声をよく聞く。4月からの18年度は、第一航空の運航赤字見込み約2億6千万円を過大として県、村が補助を認めておらず、今の運航形態で続けるのは難しいのが実情だ。

 与那さんは「財政的な課題は分かるけど、離島苦も現実問題。行政はどの航空会社であっても任せきりにせず、住民一人一人の声を聞くくらいの姿勢で空路を守る可能性を探ってほしい」と望む。