フィギュアスケートで親しまれている曲をバレエとピアノ演奏で披露する「氷上のクラシック2018」が18日、那覇市のテンブスホールであった。沖縄県内で主演級や指導者として活動するバレリーナの渡久地円香、砂川世里奈、香野玲里佳が所属の枠を超えて共演。滑走してメロディーを「面」で表現する印象のフィギュアスケートと、細やかで正確なステップを生かしメロディーを「点」で描き出すバレエ。それぞれ魅力の違いやクラシック曲との親和性の高さを示す好企画となった。平良彦太振り付け・監修。(学芸部・松田興平)

シャープな舞で会場を魅了した渡久地円香=那覇市・テンブスホール

表情豊かに踊る砂川世里奈

しなやかなダンスでエキゾチックなムードを漂わせた香野玲里佳

シャープな舞で会場を魅了した渡久地円香=那覇市・テンブスホール 表情豊かに踊る砂川世里奈 しなやかなダンスでエキゾチックなムードを漂わせた香野玲里佳

 昼公演は、ピアニストの久手堅雅と謝花千春による立体的な連弾に合わせ、それぞれの個性を前面に出した舞が印象深い舞台となった。

 公演冒頭はイタリアのフィギュア選手、カロリーナ・コストナーが使うドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」を久手堅と謝花が4手連弾で情感たっぷりに奏で、絡み合う音色で艶やかな世界観を表現。観客を官能的なステージに引き込んだ。

 2005年から17年までカザフスタンの国立劇場でプロ活動してきた砂川が選んだ独舞は「白鳥の湖」から「ロシアの踊り」。長い手足でゆったりと柔らかな舞を展開し、経験の厚みを感じさせた。

 続く香野は多くのトップスケーターが好むコルサコフ作の交響組曲「シェヘラザード」。エキゾチックな衣装と、しなやかな身体表現が溶け合い幻想的なムードが漂う。

 会場をひときわ魅了したのは、渡久地によるソロで、曲はピアソラ「リベルタンゴ」。情熱的な旋律にシャープな動きが刻み込まれていくように展開する。直線的な所作で躍動しながら、洗練された身体が大きな曲線を描き出すダイナミックな作品となった。

 最後はガーシュイン「ラプソディー・イン・ブルー」の連弾で3人の踊り手が共演。ジャズテイストのメロディーに、規則性と不規則性が調和した振り付けで進行。それぞれの持ち味が一つの舞台で繰り広げられた。

 謝花によるショパン「バラード第1番」、久手堅によるリスト「ハンガリー狂詩曲第2番」の独奏もあった。

 通常のバレエ会場よりも客席とステージが近く、踊り手の細やかな表情を含めた表現が味わえたことで、各作品のムードが濃厚に感じられた。一方、長身で手足が長い3人が踊るには舞台規模が物足りなかった印象と、ステップの際に床の音が若干響いたことが気になった。