「何が起きたのか」「地震だと思った」。多くの観光客らが行き交う沖縄の空の玄関口で起きた産業事故。2人の死傷者を出した那覇空港連結ターミナル建設現場では、パトカーや消防車両が次々と到着し、作業員らが騒然とする中、「ドドーン」という大きな音で事故を知った観光客や空港関係者らが、心配そうに現場を見つめていた。
事故を目撃して110番通報した名護市の相馬由里さん(40)によると、事故直前の工事現場では、重機が生コンクリートを流し込み、数十人が足場などを行き来していたという。
相馬さんは「雨の中、仕事で大変だなと考えていると『ドドーン』という聞いたことがないような音、金属がぶつかり合う音がした。何かと思ったら足場が崩れ、その後さらに崩れた」と説明。「救急車に搬送された作業員は全然動いていなかった。無事でいてほしい」と祈った。
事故当時、現場は雨が降り、沖縄気象台によると、10メートルを超える風も吹いていた。事故の影響で、空港前の道路は観光バスやタクシー、送迎車などの通行が一部制限され、一時渋滞が発生。那覇空港ビルディングの職員らも現場に集まり、情報収集に追われていた。
事故現場に隣接する国内線ターミナル1階で働く観光業の女性従業員(42)は、上から大きな物が落ちたような音を聞き「飛行機が事故を起こしたのかと思った」と驚いた。空港内で自動体外式除細動器(AED)を探していた警察官の姿や、消防車両が現場に次々と到着する様子を見て「工事現場の事故と分かった」と不安そうに話した。
同ターミナル3階で受け付け業務をしていた航空会社の女性社員は「地響きのような何かが崩れるような音で、地震かと思った」と話した。