沖縄空手

拝殿に鏡設置し稽古 技の鍛錬、祈りと共に 「沖宮を空手の聖地に」

2018年1月30日 19:50

【連載・空手と私】 上地一郎さん(46) 沖宮禰宜

 琉球八社の一つである沖宮の拝殿には、左右の壁に鏡が張られている。取り付けを決めたのは沖宮の神職(禰宜(ねぎ))で沖縄小林流空手道佑眞館6段の上地一郎さん(46)=那覇市真嘉比出身。参拝客の少ない時間を見計らって稽古するためだという。「どうして神様の前だといけないの? みんな驚くけど、道場にも神棚があるでしょう?」。上地さんにとって空手は、神様に祈る行為と全く同じ。自分が生きる意味を悟る手段の一つなのだという。(政経部・平島夏実)

空手の技を披露する上地一郎さん=那覇市・沖宮(喜屋武綾菜撮影)

空手への思いを語る上地一郎さん

空手の技を披露する上地一郎さん=那覇市・沖宮(喜屋武綾菜撮影) 空手への思いを語る上地一郎さん

 「どこの流派でもいいのよ。登り方が違うだけで目指す頂上は同じだから、お互いに尊重しないと」

 上地さんは、世の中にある数々の宗教と空手の流派を重ねる。「どんな神様の教えも正しいし、人間の解釈はあれこれあって当たり前」との思いから、空手の流派は一つに統一しなくていいと考える。なぜ空手は世界中に広がったのか、なぜ「空手『道』」という言い方をするのか、答えを自分なりに探りながら稽古することで、自然と祈りや悟りに通じるという。

 上地さんがふと空手に興味を持ったのは20代。ボクシング元世界王者・上原康恒さんの兄で、伯父の上原勝栄さん(73)が通ったことのある小林流究道館に弟子入りし、故・比嘉佑直氏の手ほどきを受けた。その後は、予備校の講師をしたり、父が経営する会社を手伝ったりと、生き方に悩んだ。空手の稽古は「話にならんほど中途半端だった」と振り返る。

 転機は15年前。肺がんで余命3カ月と宣告された父、安次さん(76)のため「何でもしますから助けて下さい」と祈る日々が続いた。父は不思議と全快。沖宮からの誘いもあり、神職として腰を落ち着ける原点になった。

 次に訪れた転機は2015年。大正時代に沖縄から本土へ空手を広めた松涛館空手道の開祖、船越義珍氏の顕彰碑が沖宮入り口に移されることになった。「これからは沖宮を空手の聖地にする。神様からのメッセージだ」と受け取った上地さんは、境内に空手をデザインしたお守りを置いた。実行委員長を務める芸能公演「奥武山大琉球神楽」では、3回目を迎えることし、空手をテーマに企画を進めている。

 「こう言うと『えらそうに!』って神様に笑われそうだけど…空手を通じて、それぞれに与えられた使命を悟られて下さい。そして尽くされて下さい」。上地さんの空手は祈りと共にある。

【全沖縄少年少女空手2018】輝くあなたが写っているかも!

 

 「沖縄タイムス フォトギャラリーDL」では、本紙が取材した大会の写真約987枚をご覧いただけます。紙面に載らなかった写真も多数! 輝くあなたや家族、友人が写っているかも。がんばった証しに、仲間との思い出に、チェックしてはいかがでしょうか?

 >> https://okinawa.epitas.com/

あわせて読みたい

関連リンク

沖縄空手のバックナンバー

沖縄関連、今話題です(外部サイト)

JavaScriptをOnにしてください

アクセスランキング

ニュース 解説・コラム

沖縄タイムスのお得な情報をゲット!

友だち追加
LINE@

沖縄タイムスのおすすめ記事をお届け!

友だち追加
LINE NEWS