私たちはもう全員すっかり忘れかけているが、直木賞というのは略称である。正しくは直木三十五賞、大正から昭和初期にかけて活躍した同名の作家のあまりに早すぎる死を悼んで菊池寛が創設した。  あのころは「文壇」という語の全盛期だった。