中部アフリカに位置するカメルーンは日本の1・25倍の面積がある。フランス語と英語を公用語とするこの国は、日本のJリーグでプレーしたサッカーのパトリック・エムボマ選手や「不屈のライオン」の異名を持つ代表チームの活躍でも、よく知られている。

子どもたちに指導するウンゴリ氏(右)=提供

カメルーンの位置

子どもたちに指導するウンゴリ氏(右)=提供 カメルーンの位置

 空手は1950年代のころ、柔道と共にフランス軍人によって紹介されたという。その後、地元の空手家の努力により、世界空手連盟の国順位でエジプトに次ぐアフリカ2番目の国となった。競技空手が盛んで、沖縄空手はあまり見られないが、剛柔流、小林流や古武道は普及している。

 1977年カメルーンの商業都市、ドゥアラ市生まれのジュール・ウンゴリ氏は、12歳の時、父から松涛館空手や柔道を学んだ。3段になった2008年、沖縄小林流系を指導する同国人のゴドフロワ・クム氏と出会い、沖縄の空手と古武道の手ほどきを受けた。

 スペインに留学し、情報技術修士号を取得したウンゴリ氏は、仕事を求め10年にイギリス北部のリーズ市に移住した。

 武術への情熱がITより勝ったウンゴリ氏は同年に空手のプロとなった。道場や公民館などで小林流を指導しながら、健康・栄養などのカウンセリング活動も行っている。現在、知念賢祐氏が指揮するワールド王修会伝統沖縄小林流空手道古武道連盟の英国支部長を務め、70人に指南している。

 英国に住んでいても、心は生まれ故郷のカメルーンから離れることはない。毎年1~2回帰郷し、道場を巡って沖縄空手の指導に努めている。

 17年12月15日ドゥアラ市で行われた武道祭にも積極的に関った。人種、宗教、政治の違いを超えて活動する「カメルーン武道の友人協会」が主催した、この演武会では世界18の武術が紹介された。催しの目標「人類のための格闘技・カメルーンの永続的な平和」は、「平和の武」である沖縄空手の目的と同様といえるだろう。

 16年に初めて沖縄を訪れ、首里手中興の祖・松村宗棍(昆)の墓を参拝した。沖縄の人々の修養する姿に感激し、沖縄空手に対する熱情が改めて確認できたという。

 「毎日の稽古を通して空手は、精神と身体の面で素晴らしい幸福をもたらしてくれる」と語るウンゴリ氏。故郷でも沖縄空手を広めたい-と情熱を燃やすカメルーンの空手家は、沖縄空手の精神を胸に修練の道を進む。(ミゲール・ダルーズ 「沖縄空手通信」発行人)