◆北風に押し戻され、南西諸島へ…専門家の見解

 本島北部などに油の塊などが相次いで漂着している。海流に詳しい専門家は、先月のタンカー船沈没事故で流出した重油が黒潮に流されていったん本州向けに北上した後、南西諸島に沿って吹く北風に押し戻されていると予測する。

 先月下旬から油などの漂着が確認されている奄美群島。鹿児島県は今月7日に回収対応マニュアルを作り、各海岸にドラム缶130個を置くなど本格的な回収作業を進める。

 奄美大島では油による窒息死とみられるアオウミガメも発見され、環境省はサンゴ礁など生態系や野生生物への影響を調べる方針だ。

 「外洋には、奄美に漂着した油より多い量がまだ残る。沖縄でも奄美と同じことが起こるのでは」。こう予測するのは、沈没船から流出した油の経路をシミュレーションした鹿児島大学の中村啓彦教授(海洋物理学)だ。

 1月下旬から2月中旬に強い北風が吹いた影響で重油が黒潮を横切り、そのまま南下していると推測。3月上旬ごろまでの北風の強さで漂着量は増減するとした上で「奄美群島は1カ月程度で、しばらくすれば沖縄も収束する」との見方を示した。

 一方、英国の研究者らは、黒潮に乗って油汚染が日本の広範囲に広がり、生態系や漁業に悪影響を与える危険性を指摘する。

 これに対し、環境汚染に詳しい鹿児島大の宇野誠一准教授は冷静な対応を呼び掛ける。さらさらした重油が海中のごみを取り込みながら粘性の高い塊になったとみて「有害物質は漂流中に風化して減り、塊の中に閉じ込められてもいるので溶け出しにくい。速やかに回収されれば生態系に壊滅的な影響を与えるのは考えづらい」と話した。