仲村/スクラム組んで。照屋/ごぼう抜きされないように、お互いしがみついて、腕と腕ガシッと絡ませて。英恵/ごぼう抜きごぼう抜きって、なんでごぼう抜きっていうの。佐和子/ごぼうって抜くのたいへんでしょ。ニンジンはすぐ抜けるけど。照屋/抜くってより、へし折る感じ。(「星の息子」144~145ページ)

坂手洋二戯曲集 星の息子 推進派(2376円)

 1983年に劇団燐光群を旗揚げした坂手洋二は次々と新作を発表し、劇作家、演出家として舞台上は実験性を恐れず社会的テーマにリアルにアプローチしつづけている。本書の2作品もまた作者がこだわりつづけるオキナワとそれを取り巻く社会問題がテーマだ。

 演劇を「メディア」の一つとして捉える坂手の作品はジャーナリスティックな視点にあふれている。戯曲はフィクションであるが故にノンフィクション(事実)より激烈に権力を撃つ妙味がある。「推進派」は、鳩山政権によって最低でも県外の「普天間移設」先候補になった徳之島(作品ではサチノ島)の自然と暮らしを背景に賛成、反対の人々をひたすら台詞の応酬で重ねる。2010年6月の鳩山辞任の1年後に作品は早くも初演を行っている。舞台に臨場感を求める坂手の迫力がいまにも伝わってくる戯曲である。

 2012年9月、オスプレイ強行配備に反対する人々は普天間飛行場の全てのゲートを丸一日封鎖。台風の暴風雨の中、警察の強制排除と抵抗する人々との激しい衝突の臨場感を坂手はオスプレイヘリパッド建設反対闘争の高江(作品では高井)の人々を描いた「星の息子」に注ぎ込む。坂手は米軍基地駐留そのものに一貫して反対する立場であるが、機動隊、防衛局職員、誘致派さまざまな立場の市民に話を聞き、耳を欹(そばた)てながら原発、フクシマ、首相官邸前の人々をも描いていく群像劇である。そして、この地平軸と時間軸をつなぐツールに最先端のスマートフォンと鉄骨やぐらを配し、素朴な少年「秋山星児」の匿名性高い指揮が心を撃つ戯曲である。沖縄でも舞台にあげたい。(今郁義・北谷町生涯学習プラザ元館長)

 【著者プロフィール】さかて・ようじ 1962年岡山県生まれ。劇作家。演出家。作品に「ピカドン・キジムナー」「カムアウト」など多数