小学校から中学にかけての多感な時期、洋楽を聴きあさった。彼の曲も例外ではない。渋い歌声、透き通るような瞳、絵画から出てきたようなファッションに身を包み、どこか謎めいた雰囲気に圧倒された

▼ロックシンガーのデビッド・ボウイさんが亡くなった。享年69歳。突然の訃報にツイッター上では世界中のファンや影響を受けた多くのミュージシャンらが追悼メッセージを寄せる

▼1970年代、華やかな衣装にメーク、中性的なイメージを強調する「グラムロック」の旗手として活躍。イメージに固執せず、年を追うごとにさまざまな顔を見せてくれたのが魅力だった

▼「現在起こっていることを取り入れるという新しさ。だから僕はいつも次々と変化していく」。音楽で大切なことをこう語っている。70年代後半のパンクロックについては「非常に価値のある変化。古い殻を壊していく状況は面白い。僕自身も常に心掛けてきたこと」とも

▼時代の変化をとらえ、表現に変えていく力が、世界に刺激と影響を与え続けてきたのだろう。音楽はいつの時代もだれかの支えになってくれる。ボウイさんの曲もそうだ

▼今月8日、69歳の誕生日に新作アルバムが発売されたばかり。惜しまれる早い死だが、米国の人気歌手マドンナさんの言葉を借りれば「魂は永遠に生き続ける」。(赤嶺由紀子)