沖縄空手

不屈の魂、心技体培う範士10段 米国で沖縄空手の神髄伝授

2018年3月30日 21:21

松林流 米LAに道場開設45年 大田栄八範士10段(72)

 自分に不足したものはないか。心技体全てを集中させ、突きや蹴りを繰り返す。米ロサンゼルス(LA)郊外ガーデナに本部道場を置く松林流・大田栄八氏(72)は自己を見つめ直す毎朝の鍛錬を欠かさない。「休むことはよくない。休めば力が落ちる。この年齢から力を伸ばすことは難しい。だが、力が落ちないよう維持することはできる」。不屈の範士10段は沖縄空手の追求に揺るぎない決意を抱き、稽古場に立つ。(学芸部・中島一人)

型を披露する大田栄八範士10段=22日、那覇市久茂地・タイムスホール(中島一人撮影)

1月、カリフォルニアで行われたセミナーで参加者に指導した大田栄八範士10段(前列左から4人目)=提供

型を披露する大田栄八範士10段=22日、那覇市久茂地・タイムスホール(中島一人撮影) 1月、カリフォルニアで行われたセミナーで参加者に指導した大田栄八範士10段(前列左から4人目)=提供

 兄が暮らす米国へ25歳の時、渡った。LAで1973年に道場を開設して45年になる。開設前は松林流の故長嶺高兆氏と共に稽古し、普及に努めた。組手を挑んでくる外国人と激しく戦うことも多かったという。「大田は人を殺す空手を教えている、と移民局に“密告”されたこともあった」。道場運営は窮地の連続だった。家賃の高騰などもあり、道場の場所をこれまで10カ所以上変えた。

 カンフー、マーシャルアーツなど多様な武術が混在する大都会。沖縄空手の看板を掲げ続けることは容易ではない。「空手着を着ているのは沖縄空手だけではない。だから道場の稽古も休めない」。休めば門下生が減り、指導と普及は滞ってしまう。常に気は抜けない。

 「沖縄空手」の名だけでは入門者は来ない時代になった。重き存在が薄れていく危機感は強い。米国はじめ海外で普及させれば、いずれ沖縄に愛好家たちが集まり、交流へとつながるとみる。「海外と沖縄の絆を強めたい」。沖縄空手の認知度を上げ、看板が少しでも増えるよう願っている。

 1週間のうち6日間は道場の稽古日だ。年間予定はびっしり。多くの門下生が汗を流すオハイオ、フロリダなど米国内、世界はロシア、カナダ、キューバ、インドなどのセミナーに出向く。第1回沖縄空手国際大会の準備に向けた2年ぶりの帰郷もわずか6日間。LAに戻った後は「カナダでセミナー」と笑った。

 竹富町黒島生まれ。上山中、沖縄高校(現沖縄尚学)では野球に熱中。安仁屋宗八投手とも白球を追った。10代後半、那覇市の松林流神原支部に入門し、島正雄氏の指導を受けた。「少年時代は短気でけんかも多かった。でも、本当にいい先生に出会えた。空手で自分を変えることができた」

 沖縄空手の普及と共に指導の柱とするのが子どもたちの健全育成だ。「空手をやることによって精神をコントロールできるようになる」。大会を開催し、個々を評価するなど長く空手を続けられるよう創意工夫も行ってきた。次世代が空手で培った心と体を未来へ応用し、たくましく挑んでいく姿も思い描く。

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