木村草太の憲法の新手

木村草太氏講演会詳報:改憲論議注視して 「自衛隊明記」の危険性指摘

2018年4月3日 11:19

憲法と対話 国の暴走防ぐ

 本紙に「憲法の新手」を連載中の憲法学者、木村草太氏(首都大学東京教授)を招いた講演会「沖縄で考える憲法の未来」(主催・沖縄タイムス社、特別協力・連合沖縄)が27日、那覇市のタイムスホールで開かれた。憲法改正論議で自民党が提唱する9条への「自衛隊の明記」について、国民投票では任務を曖昧にし、可決後に集団的自衛権が認められたとする危険性があると指摘。今後の改憲論議を注視するよう強調した。木村氏は辺野古新基地を巡る裁判の推移や森友文書改ざん問題などについても憲法の視点を交えて語った。

憲法から沖縄、森友問題まで幅広く語った木村草太首都大学東京教授=27日午後、那覇市・タイムスホール

木村草太さんの講演に聴き入る来場者=27日午後、那覇市・タイムスホール

木村草太の憲法の新手

憲法から沖縄、森友問題まで幅広く語った木村草太首都大学東京教授=27日午後、那覇市・タイムスホール 木村草太さんの講演に聴き入る来場者=27日午後、那覇市・タイムスホール 木村草太の憲法の新手
 

■憲法改正に注目

 憲法改正に注目が集まっている。憲法は本来、過去の国家権力の過ちを繰り返さないためにあるもの。権力者が権力を行使しようとするとき、その手順や、やってはいけないことが書いてある。

 SF作家の新城カズマさんと対談した新刊を出した。「悪は空虚なもの」という考えを盛り込んだ内容で、権力者が悪に走るときは深く考えない場合が多い。子どもがアリの巣に水を入れて遊ぶのと同じだ。アリからすると悪だが、子どもは深く考えず、ただ楽しいからやっている。

 権力者が悪にならないよう考えさせるのが憲法だ。重要なのは、憲法は誰にとっても「他者」であること。今の権力者や私たちが書いた文章でもなく、過去に多くの人が関わってできたもの。他の人が書いた憲法とじっくり対話することで、視野が狭かったことを自覚したり、われに返ったりする。憲法は権力者が深い考えがないまま突っ走るのを防ぐ役割がある。

■沖縄通じ考える

 昨年4月の衆院憲法審査会で地方自治をテーマに議論した。辺野古の新基地建設を巡る訴訟など、沖縄を通じて憲法を考えることが話題になり、学識者4人が参考人として知見を述べた。

 明治大学の大津浩教授はスコットランドの自治権を参考に、沖縄へ大幅な権限を委譲し、高い自治権を持たせることを提案。沖縄大学の小林武客員教授は、沖縄は県民の権利や尊厳が守られていないことから、米軍機の飛行差し止め条例などの住民保護条例の必要性を説いた。

 東京大学の斎藤誠教授は基地が沖縄に偏っているのは地方自治の侵害と指摘。訴訟を起こしても裁判所が訴えを聞いてくれないので、これを変えるには憲法上の地方自治保障の条項を充実させることが一つの方策だとした。中央大学の佐々木信夫教授は、知事が沖縄担当大臣を兼務する大胆な手法を提起。内閣のメンバーに入り、沖縄の意見をストレートに反映させる内容だ。

 大津、小林の両氏は今ある憲法の枠内でのアイデア。斎藤、佐々木の両氏は憲法の枠にこだわらず改正に踏み込んでいる。沖縄の意見を反映するにはどのような手法が良いか。憲法の未来を考えるため、議論を深めていくことが重要だ。

■森友問題巡って

 衆参両院の予算委員会は27日、学校法人「森友学園」への国有地売却に関する財務省の決裁文書改ざんを巡り、佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問を実施した。不思議なのは、佐川さんが書き換え前の決裁文書をいつ見たのかという質問に黙秘したということ。だが文書を見て国会で答弁しないといけないのは常識で、書き換え前の決裁文書を見たのかにすら答えないのはおかしい。

 この問題を巡っては、安倍晋三首相や麻生太郎財務相も国会で答弁している。財務省理財局が説明をしているはずで、その際に常識であれば首相や財務大臣に決裁文書を見せているはずだ。佐川氏が説明するために使用した文書の中身を情報公開請求するべきだ。

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