大弦小弦

[大弦小弦]幼い頃、日曜日の夜7時半はアニメ「アルプスの少女ハイジ」…

2018年4月10日 07:21

 幼い頃、日曜日の夜7時半はアニメ「アルプスの少女ハイジ」(1974年)を見ていた。彼女が食べる穴の空いたチーズや白パン、ヤギの乳はどんな味なのかと毎週テレビの前で想像した

▼日本は70年代、物質的繁栄と引き換えに取り返しのつかないほど自然を壊した。大自然の中を走り回るハイジの笑顔は、ゆとりを失った大人の心もとらえた

▼5日、数々の名作アニメを手掛けた高畑勲さんが82年の生涯を閉じた。盟友の宮崎駿さんが描くファンタジーに対し、日常のエピソードを積み重ね、少年少女が未来を切り開く物語を生み続けた

▼乗り越えられない現実も伝えた。戦争であり、戦場で修羅と化す人の心だ。映画「火垂(ほた)るの墓」では戦火を懸命に生きた兄妹が、敗戦直後に命を落とす結末を描く。戦争になってからでは遅いのだと

▼戦争の歯止めを掛けられるのは憲法9条と生涯訴えた。辺野古新基地問題では「本土の私たちが無視していいのか」と、ゲート前にも座り込んだ

▼9歳で遭った岡山空襲で、はぐれた親と再会した時、劇的な抱擁はなかったという。人々が心のままに振る舞えなかった戦中の日本。「あの時、親に抱きつけたらどんなに幸せだったか」。都会で孤独を味わったハイジが山に帰り、おじいさんの胸に思い切り飛び込む場面にはこんな願いが込められている。(磯野直)

基地で働く―軍作業員の戦後
沖縄タイムス社
沖縄タイムス社
売り上げランキング: 352,603

あわせて読みたい

関連リンク

大弦小弦のバックナンバー

沖縄関連、今話題です(外部サイト)

JavaScriptをOnにしてください

アクセスランキング

ニュース 解説・コラム

沖縄タイムスのお得な情報をゲット!

友だち追加
LINE@

沖縄タイムスのおすすめ記事をお届け!

友だち追加
LINE NEWS