米軍基地問題を争点にした選挙で、県民は常に二分される戦う歴史を繰り返してきた。大方の国民は高みの見物を決め込み、その結果を解釈するのみにとどまっている
▼共同通信が1月30、31日に実施した全国電話調査で、米軍普天間飛行場を名護市辺野古に移設する政府方針を「支持する」との回答が47・8%で、「支持しない」の43%を上回った
▼2014年11月に翁長雄志氏が知事選に当選して以降、大手メディアの世論調査は辺野古移設に反対する意見が賛成を上回った。「あらゆる手法で新基地建設を阻止する」という翁長氏の訴えが全国に広がったと期待された
▼今回の共同通信調査は、辺野古推進の政府が支援した現職の佐喜真淳氏が再選された宜野湾市長選の結果が影響を与えたとみられる。安倍政権は結果を新基地に反対する「オール沖縄」批判に利用している
▼本土メディアは政府対翁長知事の代理戦争と位置付けた。一方、出口調査で反対と答えた人の4分の1が佐喜真氏に投票したという。基地だけでは割り切れない複雑な事情が本土側に十分に伝わっているだろうか
▼新基地建設を争点から外した佐喜真氏勝利で、市民、県民が辺野古を容認したとはいえない。新基地建設反対で全国の共感を得るには安倍政権の世論誘導に対抗できる発信力が問われている。(与那原良彦)