友人に勧められて以来、毎年楽しみにしているスーパーボウル。今年の米プロフットボールリーグ王者はデンバー・ブロンコス。素人ながらも、堅守が光ったゲームにくぎ付けとなった

▼アメフトは完全な分業制である。司令塔のクオーターバック(QB)を軸に、攻守それぞれが役割を着実にこなすことで勝利をたぐり寄せる。シンプルだが、細分化された中でいかに専門性を発揮できるか

▼ベテランだろうと新人だろうとQBには強いリーダーシップが求められ、チームの意思統一が鍵だ。明確な目標にスピード感を持って戦略を立て、分析する。それは企業経営の姿とも重なってみえるから面白い

▼成績不振のチームの再建パターンがあるという。アメフト解説者の後藤完夫さんは著書『NFLの(非)常識』で、守備の人材固め、攻めの体制、攻守バランス-を挙げる。基本ともいえるが、できるか否かで命運は分かれる

▼一方、こちらの経営陣の強い意志はあまり伝わってこない。経営再建中のシャープは台湾企業からの買収案の本格協議に入った。産業革新機構との交渉も続けるという

▼液晶事業で赤字が続いたにもかかわらず対応できず、要の人材の流出も続いた。攻守のバランスを欠いたのだろうか。身の振り方を決断できない経営陣に技術と雇用は守れるか、再建の道は厳しい。(赤嶺由紀子)