本土にあって沖縄にないもの。いろいろあるが、米軍砲撃訓練の手厚い対策もその一つ。演習場周辺にある民家の防音工事を国が全額補助している
▼県道104号越え訓練が本土移転する時に導入された。移転前の沖縄で道路を封鎖して実弾が飛んでも、現在進行形で砲撃や廃弾処理の騒音が100デシベルを超えても、放置されたままだ
▼23日に訓練が終わった大分県の日出生台演習場ではさらに、米兵が観光などで外出する際、防衛局職員が同行している。犯罪を不安視する地元に政府が約束した
▼沖縄の米兵は自由にゲートから出てきて、基地外に住む人も多い。政策の整合性がなく、明らかな二重基準だ。ただ大分の現状を知って、それは政府が意図したというより、その場しのぎを積み重ねた結果なのかもしれないと思った
▼米軍は地元向け説明会を開かなくなり、外出日程の事前公表もしなくなった。地元紙記者は「ルーティン(通常)の訓練だから必要ない、と。このまま押し込まれる不安がある」と言う。当初あれこれ約束していた政府は何もできない
▼オスプレイは住宅地上空を飛ばないはずだった。沖縄で見慣れた光景が、本土でも数周遅れで再現されようとしている。本土の人々がそれを止めるには、基地沖縄の現状を「あすのわが身」だと知り、ここで断ち切るしかない。(阿部岳)