【ベトナムで堀川幸太郎】沖縄県八重瀬伝統獅子舞芸能団が出演する国際的な芸能祭「フエ・フェスティバル2018」が27日夜、ベトナム中部の古都フエで開幕した。芸能団は先駆けて26日夜、フエ中央病院で慰問公演に臨んだ。患者や家族ら市民250人以上が詰め掛けた。用意した約70席を大幅に上回る盛況ぶりで「前夜祭」を彩った。

最前列で母親の膝に座った子どもに近づく八重瀬町志多伯の獅子舞。顔は怖がっているが、恐る恐る手を伸ばして触れようとする=26日夜、ベトナムのフエ中央病院

 八重瀬町友寄、志多伯集落が伝える獅子舞や、小城の棒術などを約1時間半演じた。観客は最前列で1メートルもない間近で、真剣みと躍動感あふれる沖縄の民俗芸能に見入った。

 1937年に始まったフエの獅子舞団「大儀堂」も赤と黄色の2頭が軽快な音楽できれのある舞を見せた。共演後は沖縄、ベトナムの獅子舞の違いなどを質問し合い、実際に獅子頭を操るなど交流を深めた。

 志多伯獅子舞棒術保存会の神谷翔吾さん(33)は獅子舞で「力を出し尽くした。充実感を覚える余裕もなかった」。棒術「舞方」で開幕を告げた友寄獅子舞棒術保存会の神里肇さん(43)は「大勢の目線に負けないように気合を込めた。本公演もやり遂げ、経験を後輩に伝えたい」と話した。

 フエの会社員、ティン・グエン・バン・チンさん(44)は2人の子を連れて訪れ「日本の獅子舞は、歯でかんだり寝転んだり、生きているみたい。子どもも浮き浮きしている」と喜んだ。沖縄ベトナム友好協会の鎌田隆会長(81)は「人々が紡ぐ生きた歴史、民俗芸能の力が人を引き付けた。すごくいい前夜祭」とたたえた。一行は開幕式の翌28日にパレード、29日に本公演を控えている。