社説

社説[朝鮮半島と沖縄]緊張緩和の好機生かせ

2018年5月2日 08:56

 南北首脳会談を成功させた韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領に早くも、ノーベル平和賞受賞を予想する声が上がっている。

 CNNなどの報道によると、文氏は「ノーベル賞はトランプ米大統領が受け取るべき。われわれに必要なのは平和だけ」だと語ったそうだ。

 「完全な非核化」をめぐって際どい要素が多いのは事実だとしても、朝鮮半島情勢が劇的な転換を遂げつつあるのはあきらかである。

 日本の植民地だった朝鮮半島は戦後、冷戦の顕在化で韓国と北朝鮮に分断された。

 沖縄もサンフランシスコ講和条約によって日本本土から分離され、27年間にわたって米国に統治された。

 韓国も沖縄も反共軍事ブロックの最前線に置かれ、住民は大きな軍事負担を背負わされた。日本の国民はこの事実を忘れるべきではない。

 ソ連の崩壊と冷戦の終結は、米国やヨーロッパでは、基地閉鎖、軍需産業の縮小などの「平和の配当」をもたらした。「冷戦の最大の受益者は日本」だともいわれた。

 だが、沖縄は復帰後も基地が集中し、韓国では、民主化が進んだものの、南北の軍事対立は解消されなかった。

 「ノーベル平和賞ではなく、必要なのは平和だ」という文氏のメッセージは、韓国の戦後体験に根ざした切実な希求というべきだろう。

 韓国の人々の「今度こそ」という思いは、今なお基地の重圧に苦しむ沖縄の人々にも共通するものがある。

 戦後の冷戦構造に終止符を打つ絶好の機会が到来した、と受け止めたい。

■    ■

 県は3月、翁長雄志知事の訪米に合わせてワシントンでシンポジウムを開いた。1994年の北朝鮮危機の際、国防長官を務めたウィリアム・ペリーさんは、こう発言している。

 「北朝鮮の脅威がなくなれば、普天間飛行場に駐留している部隊の存在理由が完全になくなり得る」

 82年には、当時のワインバーガー国防長官が米議会で「沖縄の海兵隊は日本の防衛に充てられていない」と発言した。海兵隊は日本という特定地域の防衛のため、あるいは尖閣防衛のため、張り付いているわけではない。

 朝鮮半島の非核化が進み、朝鮮戦争の終戦宣言・平和協定への転換が実現すれば、海兵隊が沖縄に駐留する理由はなくなる。

 その動きが始まっているのだ。朝鮮半島に生じている緊張緩和のうねりを後戻りさせてはならない。

■    ■

 復帰前、沖縄は海外における「世界最大級の核拠点」となった。沖縄に核を集中させ、その抑止力に依存する、というのが政府の考えだった。

 復帰の際、日米の間で有事の再持ち込みを認める密約が交わされた。米国防総省は、2015年に公刊された文書で密約の存在を認め、「再持ち込みする権利を維持した」と指摘している。

 政府が北朝鮮の完全非核化を求めるのであれば、朝鮮半島だけでなく、戦争被爆国として「核の傘」の見直しを含めた完全非核化を目指すべきである。

沖縄県知事 翁長雄志の「言葉」

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