フィリピン・パヤタスのごみ山には、あらゆるごみが無分別に搬入され、すさまじい悪臭やおびただしいハエに、息をするたびに吐きそうになるという。山口千恵子さん(うるま市出身、東京在住)は10年以上前、初めて訪れた
▼日本の若者を連れて行き交流する団体のスタッフとしてのこと。現地では、大人に交じって子どもが、家族のために換金できるごみを拾う。厳しい環境の中、「生きたい」と願いながら大人になる前に亡くなる子も少なくない
▼それでも子どもたちは明るく日々に感謝し、他者を思いやる。その姿に山口さんは、衝撃を受けた。以後、仕事以外の時間も使い、年4回は通い支援・交流を続けている
▼「一生懸命生きる姿を多くの人に知ってほしい」と先月「パヤタスに降る星 ごみ山の子どもたちから届いたいのちの贈り物」(中央法規)を出版した
▼ある日本の少年は、いじめが原因で「早く死にたい」と思っていたがパヤタスの子どもたちの願いが自分と逆だと知りショックを受けた。「強く生きて人の役に立ちたい」と思うようになったという
▼子どもの自殺のニュースが続く。今も、傷ついて、生きる意味なんかないと思い込んでいる子がいるかもしれない。目の前のものがすべてじゃない。いろんな世界があることを知って、必ず生き抜いてほしい。(安里真己)