街路の鮮やかな黄花イペーや色とりどりのツツジがやけに華やかでまぶしく、曇った心で出勤している方はおられないだろうか
▼人事異動の季節である。勤め人であれば意に沿わない人事があるのは百も承知。それでも割り切れず、うつうつとする。そんなとき暗い穴蔵から抜け出すきっかけになる言葉がある
▼〈おもしろき こともなき世に おもしろく すみなすものは 心なりけり〉。幕末の長州藩士、高杉晋作が上の句を、下の句を野村望東尼が詠んだ高杉辞世の句とされる。気持ちや考え方次第で人生は面白くもなればつまらなくもなる-。以前、大量の愚痴をこぼしたら、この歌を贈られ気付かされた
▼「人生は芝居のごとし」は、福沢諭吉の説があるがはっきりしない。「上手な役者が乞食(こじき)になることもあれば、大根役者が殿様になることもある。とかく、あまり人生を重く見ず、捨て身になって何事も一心になすべし」。芝居と思えば幾分、気が軽くなる
▼気持ちを切り替えられたら、いつか〈ありのまま見せたら僻地(へきち)へレディゴー〉と自虐的に笑い、〈束(つか)の間の夢が拡(ひろ)がる異動前〉という気分も、また訪れるだろう(いずれもサラリーマン川柳から)
▼4月になれば新入生や新入社員が初々しく、街はもっと華やぐ。その前に、気になる知らないあなたへ、贈りました。(与那嶺一枝)