「不安もあるけど、夢をかなえるために頑張りたい」「(苦しい時に)先生が一緒に泣いてくれてうれしかった」「人を笑顔にできる調理師を目指す」。語る前から涙を浮かべる生徒もいた

 ▼沖縄市の児童養護施設・美さと児童園で開かれた壮行会。これまでには、たくさんの寂しさやつらさもあっただろう。巣立つ6人が、旅立ちの言葉として、思い出や周囲への感謝、夢を語る姿に胸が熱くなった

 ▼事情があって家族から離れて暮らしてきた子どもたちは、高校を卒業すると園を出る。親や親類の家に行く子は少ない。進学だと学費、就職でもゼロから家財道具をそろえなければならない生活費や家賃…。徐々に支援は広がっているが、18歳には重い

 ▼そんな彼らを応援する人たちでつくる児童自立支援会から金銭的な補助があるほか、ことしは1企業から、昨年退園した生徒への家賃補助もあった。先月は、アパートの借り方や暮らし方を不動産業者がボランティアで教える勉強会も開かれた

 ▼ただ、支援会に集まった会費は目標の半分足らず。継続的なサポートを考えると、まだ足りない。園ではさらに協力を呼び掛けている

 ▼壮行会では昨年卒業した女性の元気な姿に出会った。夢を語る真っすぐなまなざしがうれしい。彼らが、望む道へ思いっきり挑戦できるよう応援したい。(安里真己)