子どもたちの輝きと、陰で支える大人たちの軌跡をまとめた記念誌「きむたかの翼」が手元にある。あでやかな衣装に満面の笑みで達成感を表す100人近い少年少女の表紙写真。その中央に遠慮がちに納まる大人がいる

うるま市初代教育長の上江洲安吉さん。与勝地区の中高生による現代版組踊「肝高の阿麻和利」の生みの親である。生涯を地道に誠実に人材育成にささげ1日に90歳で亡くなった

▼旧勝連町教育長時代、組踊「二童敵討」で逆臣と描かれた勝連按司・阿麻和利のイメージ払拭(ふっしょく)に奔走した。民に慕われた歴史をひもとき、地域が誇る英雄として蘇(よみがえ)らせた

▼現代版組踊を発案し、子どもたちが足元の文化に触れ、感動体験する機会をつくった。勝連城跡をライトアップした2000年の初演が終わると若者は肩を抱き合って涙を見せた。上江洲さん自身、長い教育経験で忘れられない場面となった

▼活躍の場は県内外に広がり08年にはハワイに渡った。重ねた公演は304回、延べ17万5千人を動員。巣立った若者は約400人になる

▼座右の銘は継続は力なり。国際化する社会で与勝の子が20年後にリーダーとして活躍することが願いだと家族に語っていた。その20周年を来年迎える。子どもたちを支えた「陰の英雄」の功績は人材という形で花開きつつある。(溝井洋輔)