県議会(喜納昌春議長)の2月定例会最終本会議で、手話言語条例案が可決されると、聴覚障がい者や支援者らは両手を挙げヒラヒラと振った。同じ傍聴席には、手話で表した「音のない拍手」に目を見張る六つの若き瞳があった
▼当日、KBC学園未来高校3年の金城大空(ひろたか)さん(17)と城間隆之介さん(17)、1年の比嘉健吾さん(16)が県議会を初めて傍聴した。3人は、投票できる年齢が18歳に引き下げられる意義や課題を取り上げている本紙「18歳選挙権」特集面の企画に応募した
▼「政治や議会を知らない」と話していた3人が口をそろえたのは「言葉が難しい。理解できないことが多い」という感想。思わず、うなずいた。専門用語が多い話は大人も難しい。「開かれた議会」に向けた課題を浮き彫りにした
▼金城さんは翌日の朝刊で条例可決の記事を探して読んだ。聴覚障がい者らの喜びと条例の大切さの理解を深めるため、議場で見た体験とニュースを結びつけて考えた
▼3人とも夏の参院選では選挙権がない。「投票するまでには、政治のことや政治家の公約をもっと勉強したい」と意欲的だ。政治の現場を見ることでその距離感はぐっと縮まったようだ
▼本会議では、やじが飛び交う場面があり、喜納議長が何度も「静粛に」と制した。政治家の怒号が高校生の目にどう映ったか気がかりだ。(与那原良彦)