2015年の泡盛総出荷量が11年連続で減少し、16年ぶりに2万キロリットルを割った。沖縄県酒造組合(玉那覇美佐子会長)は主な要因に若者のアルコール離れを挙げ、カクテルなどの飲み方を提案し、取り込むとしているが、これまでと代わり映えのない対策にとどまっている。識者や酒類卸業者は焼酎などの他の酒類にシェアを奪われている現状を指摘。消費者に向き合った打開策を求めている。(政経部・照屋剛志)

 「若者のアルコール離れというが、若者のニーズに対応できていないだけ」

 泡盛に関する著書もある沖縄観光連盟の山入端好盛理事長は「泡盛業界が時代の変化について行けていない」と説明する。

 人口が増えている沖縄は県外からすれば好市場。県外から日本酒や焼酎などの参入が相次ぎ、競争が激化しており、泡盛がシェアを奪われているという。

 「居酒屋や量販店の店頭にはワイン、リキュール、酎ハイなどのさまざまなお酒がある。消費者ニーズが多様化する中、泡盛は置いていかれている」と危惧する。

 焼酎の黒霧島を製造する霧島酒造(宮崎県)は昨年4月に県内の職員を2人に増やして営業体制を強化。県内出荷量は4年前から3倍以上に増えているという。

 本島に拠点を置く酒類卸業の担当者は「他のお酒も増えている。こういう状況で泡盛だけが落ち込む要因は何か。酒造組合はきちんと分析できていないのでは」と語気を強めた。書き入れ時の年末年始に量販店の売り場に立った担当者は「地元の人たちが清酒や焼酎を次々と買っていく。現実は、数字以上に厳しい」とする。

 同組合は県の支援などを受け、県内外でプロモーション活動を展開し、出荷量増を狙うが、思うような成果につながっていない。担当者は「現状を把握していないから実効性のないイベントばかりになっていた。誰に何を売るかを明確にし、売り上げにつながる具体策が必要だ」と要望した。

 玉那覇会長は「各社とも即応性のある答えが見いだせず苦慮している」と苦しい状況に頭を抱える。

 一方、最近では20~30代の若手の製造技術者が増えているとし、「品質管理や商品開発などに新しい発想で取り組み、人気商品も出始めた。解決策の一つとして、若手育成にも力を入れたい」と話した。

■卸・小売りに魅力PR 小泉武夫氏(東京農大名誉教授)

 泡盛総出荷量の減少は深刻な問題で思い切った対策が必要になる。さまざまなやり方があるが、まず取り組むべきことは、泡盛を売る問屋や小売業者に泡盛のことをもっとよく知ってもらうことだろう。

 消費者に泡盛を売るのは問屋や小売業者。歴史背景や味わい方など、泡盛の良さをもっと伝え、消費者に発信してもらうべきだ。県外では問屋や小売業者を一堂に集めた勉強会が頻繁に開催され、業界挙げてお酒の良さを売り込んでいる。

 日本酒業界では、若い経営者に世代交代が進み、新たな対策を打ち出しており、低迷から盛り返してきている。若い世代は、新しい時代に適応していける。若い世代にチャンスを与えてもいいのではないか。

 現状の打開には、県酒造組合のまとまりも重要だ。規模の違う酒造会社が46社もあって、それぞれの多様性があるが、一丸とならなければ乗り越えられない。それだけ現状は深刻だ。

 県民を引きつける話題づくりにも積極的に関わってほしい。泡盛マイスター協会や有識者などの幅広い枠組みで琉球泡盛の世界遺産登録を目指している。

 県酒造組合の協力もあるが、県民を挙げた運動に発展させなければいけない。組合が一丸となって、引っ張ってもらえると心強い。(談)