大弦小弦

[大弦小弦]長い軋轢(あつれき)には、たいていボタンの掛け違いや…

2018年6月15日 09:03

 長い軋轢(あつれき)には、たいていボタンの掛け違いや認識の齟齬(そご)がつきもの。合意を優先し、懸案を先送りした玉虫色の文書は危うさをはらむ

▼米軍普天間飛行場の返還を巡る2006年の基本確認書がまさに典型例。名護市辺野古への移設について「県が容認した」とする政府に対し、県は「容認ではない」。文言の解釈の違いを残したまま“協調”を演出した結果、より一層の問題の複雑化を招いた

▼こちらはどう転んでいくのか。史上初の米朝首脳会談で朝鮮半島の非核化に向けた共同声明に署名した。「歴史的な文書」と両首脳は誇示するが、早くも認識の隔たりがあらわになっている▼米国は非核化の実現まで経済制裁の解除に応じない方針だが、北朝鮮はあくまで非核化は「段階的」で、米側の見返りに応じて進展させていく構え。先行きの険しさを容易に予感させる

▼米側が非核化の期限を2021年1月に置いたのは、トランプ大統領の再選をたぐり寄せる成果が欲しいから。仮に再選しても現政権は6年半で終わる。過去の核放棄を巡る合意を袖にしてきた北朝鮮が時間稼ぎをしないとも限らない

▼米朝交渉が決裂して、待ち受けるのは世界が震える軍事的緊張。日朝首脳会談を模索する日本が存在感を発揮する場面はあるのか。トランプ頼みに終始する外交力では情けない。(西江昭吾)

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