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[大弦小弦]フランス映画の巨匠ジャン・ルノワール監督が…

2018年6月19日 07:15

 フランス映画の巨匠ジャン・ルノワール監督が1937年に作った「大いなる幻影」が桜坂劇場で公開されている。第1次世界大戦中、ドイツ軍の捕虜になったフランス軍将校が入る収容所が舞台

▼ドイツ兵から残虐な拷問を受けるのかと思いきや、捕虜の人権はジュネーブ条約で保護される。故郷からの差し入れはドイツ兵の食事より豪華で、捕虜主催の演芸会まで催される

▼公開は第2次世界大戦勃発の2年前。当時、日本は中国全土に侵略戦争を拡大し、国民には「捕虜は最大の恥。死を選べ」と命じた

▼映画を見れば、捕虜の保護を義務付ける国際条約の存在が国民にばれてしまうから上映は禁止。情報を遮断した結果、南洋や沖縄で住民までもが捕虜になるのを恐れて「自決」し、おびただしい犠牲が出た

▼沖縄戦末期、摩文仁の鉄血勤皇隊に「解散し北部に向かえ」とまだ戦うことを命じる軍部に対し、隊を率いた沖縄師範学校の野田貞雄校長は真逆の訓示をした。隣で将校の目が光る中、「死んではいかん」と

▼「玉砕しろ」と教え込まれていた隊員の古堅実吉さん(88)は、訓示の意味を理解できなかったという。「でも校長の言葉に、生きてもいいんだと勇気づけられた」。「生きろ」という、至極まっとうな言葉を生徒に伝えるにも命懸けだった時代。73年前のきょうの話だ。(磯野直)

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