極東最大規模の米空軍嘉手納基地を一望できる嘉手納町屋良の「道の駅かでな」が、中国人観光客でにぎわっている。中国の大手旅行サイトでは、恩納村の「青の洞窟」をしのいで本島中部の人気観光地1位にランクイン。道の駅かでなの訪問者数は、中国人観光客が押し上げる形で2017年度に過去最多の58万人台を突破した。

 「ワオ!」。6日の昼下がり。F22ステルス戦闘機が離陸すると、中国西安市から社員旅行で訪れた劉念さん(35)は歓声を上げた。一眼レフカメラで機体を追う。「F22が見たかったんだ」。米本国から嘉手納基地にF22が暫定配備され、本格的な訓練を始めたのはわずか2日前。米国のインターネットニュースで配備を知ったという。

 12~16年度まで50万~52万人台で推移していた道の駅かでなの訪問者数は、17年度に58万5094人に達した。国別統計はないが、與那嶺秀樹駅長は「外国人観光客の中で特に中国人が多い印象だ。数年前から中国人観光客の姿はあったが、クルーズ船の就航数と比例するように増えた」と話す。本年度はさらに増える見通しだ。

 なぜ人気なのか-。県内在住の中国人ガイドの一人は「美ら海水族館や万座毛と並んで、沖縄に来たら行っておきたい人気観光地の一つ。世界一強い米国の軍事力が近距離で見られるから特に男性に人気だ」と説明する。

 中国のニュースで嘉手納基地が取り上げられることも多く、「カデナ」は有名という。「政治的な場所かもしれないが、遊びに行くみたいな気持ちだと思う。強いものを見たら興奮するのでは」と話した。

 アジア太平洋地域の情勢をにらむ嘉手納基地が今、中国人の人気観光地と化している。(中部報道部・篠原知恵、社会部・徐潮)