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米軍の環境汚染告発、危険性隠し有害物質使用 英国人ジャーナリスト・ミッチェル氏が新刊

2018年7月18日 08:29

 英国人ジャーナリストで本紙特約通信員のジョン・ミッチェル氏が、新著「追跡 日米地位協定と基地公害-『太平洋のゴミ捨て場』と呼ばれて」(岩波書店)を刊行した。情報公開請求と内部告発者への取材で米軍による深刻な環境汚染を体系的に明らかにし、「この惑星で一番の汚染者」と批判している。

ミッチェル氏の新著「追跡 日米地位協定と基地公害」

ジョン・ミッチェル氏

ミッチェル氏の新著「追跡 日米地位協定と基地公害」 ジョン・ミッチェル氏

 取材したのは沖縄を中心に、本土の基地の事例も含まれる。時系列でも沖縄戦までさかのぼり、日米両軍が白リン弾、殺虫剤DDTなどの化学薬品をばらまき、「鉄の暴風」であっただけでなく「毒の暴風でもあった」と記す。

 泡消火剤などに使われていた残留性有機フッ素化合物PFOS(ピーホス)やPFOA(ピーホア)は、枯れ葉剤になぞらえて「21世紀のエージェント・オレンジ」だと指摘。米軍が1979年には危険性を把握しながら、それを隠したまま沖縄を含む各地で使用を続けたことを告発する。

 基地公害を「今日の日本における最重要の人権問題のひとつ」と位置付ける。解決に向けて、県が策定した「米軍基地環境カルテ」の拡充、基地外を汚染した米兵を他の犯罪と同じように日本の司法で裁くことなどを提言している。

 ミッチェル氏は取材に対して「沖縄の人々、基地は関係ないと考えている本土の人々、日本政府当局者、ジャーナリストに読んでほしい」と語る。前著「追跡・沖縄の枯れ葉剤-埋もれた戦争犯罪を掘り起こす」(高文研)にまとめた調査報道で米兵が米政府から補償を受けられるようになったことを引き合いに、「この本が日本の人々の助けになれば」と話した。

 新著は税込み2052円で、訳者は阿部小涼琉球大学教授。英語版も刊行されることになっている。

追跡 日米地位協定と基地公害――「太平洋のゴミ捨て場」と呼ばれて
ジョン・ミッチェル
岩波書店
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