タイムス×クロス コラム

沖縄の高校野球の応援がガラパゴス化 甲子園、春夏連覇チームの元球児が独自の進化を解説!

2018年7月23日 12:50
ナガハマ ヒロキ
ナガハマ ヒロキ(ながはま ひろき)
パーソナリティ・ライター

浦添市出身、1986生。

現在レギュラーは、ラジオカーレポーター(ミュージックシャワーplus+・柳卓のいいんでないかい【月曜・火曜】シャキっとi【水曜】RBCiラジオ)。サタデーマグネット(土曜13時~13時20分・RBCiラジオ/コーナーレギュラー)。

ライターとしても、各Web・紙媒体で執筆。

趣味は競馬と大相撲観戦。

HP:http://office-fanfare.com 

twitter:@nagahamahiroki

 沖縄の高校野球の応援が独特だ。甲子園球場での沖縄代表側のスタンドは異様な熱量を放ち、地方予選の段階でも各校、多種多様で個性的な応援が見られる。

 熱い戦いが繰り広げられるであろうこの夏の全国大会を前に、「応援」に目線を向けた観戦で、楽しみ方の幅を広げていきたい。

 野球応援マニアであり、自身も名門・興南高校野球部出身である福元信太さんに土地柄の特徴や今の流行などのお話を伺った。

スタンドで声援を送る北山の女子部員(2018年7月14日撮影)

─福元さんは、2010年に甲子園連覇を達成した時の興南高校野球部出身なんですよね。

 はい、そうです。ただ、あのチームではベンチに入ることでも凄いことなので。メンバーを鼓舞するためにスタンドで一生懸命声を出していました。
当時からその楽しさには気付きながら応援していましたね。今でも試合よりスタンドの応援に目が行ったりしますよ。

興南高校野球部出身である福元信太さん


沖縄代表の応援スタンドのファンがいる

─他府県と比べて、全国大会での沖縄の応援の特徴は何でしょう?

 本土の場合だと、チアなどの応援やブラスバンド部の演奏は生徒たちが中心になって行う、学校単位で組織されたものになります。

 しかし海を隔てた沖縄の場合は、全校生徒が行くというわけにもいきません。
甲子園のスタンドは、選手の父母や県出身者、代表校のOB・OGなどが集まります。中には“沖縄代表の応援スタンドのファン”という方もいて、本当にチャンプルー状態です。

─沖縄代表の、しかも応援のファンですか。

 「学校の応援」というよりは「沖縄の応援」という雰囲気があり、沖縄に関わる人が広く集まるのですが、応援がわりとシンプルで、初めての方も参加しやすいそうなんです。指笛が鳴り響いて、他県に比べてオリジナリティがある。一体感も強いですよね。

 ハイサイおじさん、安里屋ユンタ、島唄などの演奏がテレビで流れているのを聴いたことがある方も多いかと思います。これ実は、甲子園球場での沖縄県代表の応援は、兵庫県の市立尼崎高校のブラスバンド部が演奏してくれているんです。

沖縄の球児とともに一喜一憂し、力一杯の演奏で支えてきた尼崎市立の中・高校ブラスバンドの指揮をする羽地靖隆さん=2001年4月2日、阪神甲子園球場

─初耳です!なんでまたその高校が担ってくれているんですか?。

 指揮者の羽地先生という方が沖縄の出身で、その縁で毎年演奏しています。
 全国のブラスバンド部にとって、甲子園で演奏できるというのはひとつの憧れのようなものです。その舞台に野球部が連れていってくれるというドラマ的な部分もあって。
 マニアックな目線で言うと、市立尼崎高校のブラスバンド部は何十年も甲子園に連続出場中なんですよね。県勢は応援してもらって、市立尼崎のブラスバンド部は演奏ができて、良い関係ですよね(笑)

─伝統的な沖縄イズムを持った応援も根強い人気ですよね。

 チャンスシーンに「ハイサイおじさん」がよく演奏されますが、あれは球児も奮い立ちます。相手チームも圧倒されて、試合の流れが変わるのが分かるくらいですから。伝統的な応援歌というのは、スタンドも一つになり、士気を高めてくれるものです。


沖縄県内の高校でも応援スタイルは様々!

─沖縄県内の各高校にフォーカスしたらどうでしょうか。

 全国大会とは一転して、県予選では生徒総出で応援に駆け付ける高校も多いです。これは、野球の選手権大会と、それ以外の部活のインターハイの時期が異なるのがひとつの理由です。

 以前からある、野球部員のメガホンや口ラッパによる応援に加え、最近では、Tシャツを揃えたり、オリジナルソングを歌うなど、一般生徒を巻き込んだ応援も目立つようになってきました。ブラスバンドや吹奏楽も、ここ数年かなり増えてきた印象があります。

那覇西高校の応援(2018年6月30日撮影)

 “サンバ系”の応援歌は特に多いです。
 浦添商の「浦商サンバ」は、県内のサンバ系応援歌のパイオニアと言っても良いかもしれません。ここから県内に広がって、各高校でアレンジが加えられたオリジナルが誕生していきました。

 他に有名なところで言うと、首里の「首里高サンバ」は迫力ありますよ。吹奏楽部の演奏で、生徒が振付を揃えて踊るんです。スタンドがうねっているようで相手チームからすると堪らないですよね。これが一回戦からあるんですよ!

 沖縄水産は、ベスト4から水産高校ならではのセーラー服を来ての応援になるんです。ベスト4に進出しないと見られないので、心待ちにしている人も多いですし、部員のモチベーションにもなります。
 「必勝~」と叫びながら、リレーのように身体を返していく伝統の「ツバメ返し」も高校野球ファンの間ではおなじみですよね。

スタンドで盛り上がる中部商業応援団(2018年7月16日撮影)

─今の応援の流行りというのはあるんですか?

 今はプロ野球の応援を取り入れている高校が全国的に増えています。特に千葉ロッテの応援!ジャンプしながら手を叩き、メガホンを使わずに地声を出すスタイルなんです。タオル回しも代名詞になっています。
沖縄でも時折見られますよ。他にも、これまでにない新しい応援歌が全国で流行るパターンというのは、一校からだんだん火が付いていく例が多いです。


SNSによって日本全体で周っていく流行りの応援

 去年から全国的にブームを起こしている応援ソングがある。イクマあきら氏の「ダイナミック琉球」だ。最初のパートはソロで歌い上げ、その後全員での合唱に繋がる壮大さがその人気の由縁である。

─応援ソングで使われていったきっかけは何だったのでしょう。

 去年、高校バスケのインターハイの準決勝で場内が停電になったんです。各校の応援団がエール交換で歌われた動画が拡散されたのが、きっかけでした。これを競技と都道府県を超えて、仙台育英野球部が甲子園で使って全国ブレイクしました。
 今は動画共有サイトなどで映像が拡散されていくので、県内のみならず県外のチームの目に留まって、そこでまた使われていく。これは今の時代だから起こる現象と言えますよね。

1回戦、盛り上がる沖尚スタンド(2018年6月24日)

─選手だけではなく、スタンドでの応援同士も敢闘精神が見られますね。

 高校野球の、吹奏楽・ブラスバンドの応援を集めた「ブラバン甲子園ライブ」ってイベントもあるんですよ。僕も、もちろん第一回を東京まで見に行きました!今年の春には大阪ライブにも行きましたし。名門校の現役生徒が演奏して、年々盛り上がりを見せているんですよ。

 人ひとりの目をこんなにまで輝かせる、高校野球応援の世界。
 スタンドでの応援に注目して観戦したら、このあとの地方大会~甲子園での選手権大会の楽しみも広がるはずだ。球児たちはもちろん、応援団の姿にもこの夏の輝きを感じたい。
 

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