「褒めすぎは甘やかしだ」「甘えていては成長しない」。心の中ではそう思っているビジネスパーソンはたくさんいるだろう。日本の職場に褒める文化がなじまないのは、そういった考え方が根強いからかもしれない。

 しかし、本当に「褒めると育たない」のだろうか。「自分は褒められずに成長してきた」と胸を張る人もいるかもしれないが、時代は変わっている。今の企業を取り巻く環境や若い人の気質を理解し、賢く振る舞うのが“デキる”ビジネスパーソンだと言えるだろう。

 そのために理解するべき考え方とは何だろうか。企業経営者などのコミュニケーション力強化を支援している、コミュニケーション・ストラテジストの岡本純子さんに話を聞いた。

うまく褒めるために必要な考え方とは?(写真は記事と関係ありません)

「褒め赤字」に陥っている

――褒めることが大事だとなんとなく分かっていても、それができない人が多いのはなぜでしょうか。

写真を拡大 岡本純子さん。コミュニケーション・ストラテジスト、オジサン研究家。グローコム社長。2018年2月、『世界一孤独な日本のオジサン』(角川新書)を出版した。

 日本人はコミュニケーションがうまくいくルールを分かっていない人が多いように思います。コミュニケーションに関する書籍や記事はたくさんありますが、“なんとなく”読んでいる。根本的な知識が広まっていないので、感覚的に理解した気になっています。海外、特に米国ではコミュニケーションに関する研究が膨大にあり、より科学的な理解が進んでいる印象です。

 日本では職場に限らず、組織の同質性が高く、「言わなくても分かる」「厳しく鍛える」という体育会系のカルチャーが根強くあります。そのせいか、「褒める」ために使う言葉自体が少ないですよね。例えば英語なら、「すごいね」という言葉だけでもgreat, special, awesome, good, wonderful, fantastic, excellent, spectacular, superなど何十とあります。

 そのような文化的背景があることから、褒めることの効果が取り沙汰されても、「甘えてしまうのではないか」と身構えてしまうのだと思います。

――「甘やかすのはよくない」という考え方のどこに問題があるのでしょうか。

 日本の企業はそもそも「褒め赤字」なのです。褒める仕組みを取り入れたところで、褒めすぎるということはありません。褒める回数が少ないので、いくら褒めたと思っていても、マイナス100だったのが、せいぜいマイナス50になる程度ではないでしょうか。

 この「褒め赤字」の状態が、企業に与えるマイナスの影響は大きいのです。