ラグビーのアジアチャンピオンシップ(ARC)2016の日本代表に、沖縄県出身FWが2人同時に選ばれた。東芝のプロップ知念雄(25)=那覇西高-順大-順大大学院出=とキヤノンのプロップ東恩納寛太(23)=名護高-帝京大出=は、24日から東京都内で始まった強化合宿で汗を流している。(小笠原大介東京通信員)
■知念「相手を圧倒したい」 東恩納「ウチナー魂で戦う」
知念は「求められているプレーをし、相手を圧倒したい」、東恩納は「目指してきた桜のジャージー。最後まで走りたい」とそれぞれ30日の開幕に向け、士気を高めている。
合宿にはトップリーグや大学から選抜された30人が参加。30日の韓国戦に備えてフィジカルやスキルの向上、実戦的な練習に取り組んでいる。今回W杯メンバーは入らず、日本代表経験者はわずか6人。中竹竜二ヘッドコーチ(HC)代行は、若手主体の構成について「ジュニアジャパンの位置付け。ここから上を目指してほしい」と語る。本番に向け、「出場メンバーは合宿の内容を見て決める」と話す通り、ポジション争いは横一線の状況だ。
知念は陸上のハンマー投げで高校、大学の日本一になり、14年からラグビーに転向した異色の経歴の持ち主。184センチ、125キロの恵まれた体格を武器に、トップリーグ昨季終盤では最前列プロップでの出場が増えるなど、層の厚い東芝FW陣の中で頭角を現している。
「最初は未経験を言い訳にしていたが、意識が変わった。メンバーに選ばれた以上、キャリアは関係ない。試合では相手にダメージを与えるプレーをする」と意気込む。
昨年、キヤノン入りした東恩納も初のフル代表選出となる。今回選抜されたFW平均身長183センチの中で、178センチ、115キロの体格は目立たない。だが、安定したスクラムとセットプレーには定評があり、U-18、U-20で国際舞台を経験している。
「同世代のアジア代表選手と戦えるいい機会。知念さんと一緒に、ウチナー魂で戦う」と闘志を高めている。
2人について、中竹HC代行は「試合経験は少ないが可能性は十分。強い気持ちで激しいプレーを見せてほしい」と期待を込めた。
ARCには日本、韓国、香港の3カ国がホームアンドアウェー方式で戦う。また、追加招集候補として帝京大2年のFW當眞琢(コザ高出)も選ばれている。