8年前の夏。どうしても見たくて、甲子園球場に向かった。興南高の春夏連覇が懸かった決勝戦。かろうじて残っていた東海大相模のアルプス席に潜り込み、その瞬間を迎えた

▼「沖縄県民みんなで勝ち取った優勝です」。我如古盛次主将が発した言葉は今でも鮮明に耳に残る。まさに沖縄がたどった苦難の戦後史が言わせしめたのだと思う

▼ちょうどレフトスタンドの下あたりにある甲子園歴史館。夏の高校野球100年を振り返る特別展には沖縄にまつわるものも多い

▼1958年に初めて出場した首里高ナインが甲子園の土を持ち帰るために使ったケースや、移動で乗った阪神・阪急電車の乗車証。米軍統治下の沖縄大会で使われた漆器製の優勝トロフィーも飾られている。色あせた展示品は歴史の代弁者にほかならない

▼100回記念大会に出場した興南高が1回戦を突破した。県勢として夏70勝目。沖縄野球の成長を見せたいと話していた我喜屋優監督は試合後、「県民の野球に対する情熱、先人たちの努力によって今日がある。この1勝は興南だけのものではない」と語った

▼50年前、県勢初の4強に進んだ興南旋風は本土への劣等感を押しのけ「やればできる」という自信を芽生えさせた。半世紀を経て、私たちウチナーンチュは、躍動する高校球児の姿に何をみるのか。(西江昭吾)