石垣出身のバンド、きいやま商店が7月、7枚目アルバム「オーシャンOKINAWA(オキナワ)」をリリースした。今回は得意の陽気なメロディーだけでなく、しっとり聴かせる楽曲も光る。コミカルな歌詞は健在で、バンドの魅力を凝縮した10曲を収録。結成10周年を飾る新譜を引っ提げた全国ツアーが9月から始まる。(学芸部・松田興平)

新譜リリースツアーで全国を巡るきいやま商店の(左から)リョーサ、だいちゃん、マスト=那覇市・沖縄タイムス社

きいやま商店のアルバム「オーシャンOKINAWA」のジャケット

新譜リリースツアーで全国を巡るきいやま商店の(左から)リョーサ、だいちゃん、マスト=那覇市・沖縄タイムス社 きいやま商店のアルバム「オーシャンOKINAWA」のジャケット

 同バンドはリョーサ(崎枝亮作)とマスト(崎枝将人)の兄弟と、2人のいとこであるだいちゃん(崎枝大樹)で構成する。それぞれがボーカルとギター、作詞作曲を担当。3人の祖母が営んでいた店舗名をバンド名にした。

 新アルバムのコンセプトを「石垣の夏」に定めて制作した3人。

 マストは「多くの曲を作ってきたけど意外にも夏の歌がなかった」と動機を語る。「曲のアイデアづくりのために、3人で地元ドライブしたり名所を回ったり、観光客みたいに遊んで夏の時間を過ごした」とだいちゃん。

 リョーサは「出来上がってみると、ゆったりした曲が多くなった」と話す。

 新譜はアルバムと同名曲「オーシャンOKINAWA」で始まる。3人の滑らかなハーモニーで石垣の周辺離島名を並べて歌い上げるサビから導入し、そのあとラップ。「この島のヤギ ミネラルがマジ」など、小粋に韻を踏む。耳に残るサビとコミカルなラップ、二つの味わいの案配で聴かせる。

 さらにサルサ調の「ちゃー釣りばっかり」、マストのウクレレがメロディーを彩るハワイアン調の「気ままな日曜日」と続く。

 アルバム中盤をバンドらしいパーティーチューン「そこら中にパーリーピーポー」「1、2、サンゴー!」で盛り上げる。

 ラスト3曲はスローテンポに歌い上げる。最後の「離れてても家族」はリョーサ、マスト兄弟の実体験を歌った。両親が子どもの頃から別居し、2人が大人になった後は両親の間を行き来して孫を抱かせているエピソードなどを歌に落とし込んだ。

 リョーサは「母親に聴かせたら笑っていた」と明るい口調。マストも「沖縄によくある話だから、地元ライブだと笑ってくれる」と手応えを語る。だいちゃんは「でも、東京のお客さんはあまり沸かない」と首をひねる。

 結成10周年を迎えた3人。それぞれが別バンドに所属しながら遊び心で始めたユニットは、国内外でライブするまでに成長した。

 ライブMCをはじめラジオ、バラエティー番組の存在感など「お笑い要素」も魅力だが、コミックソングからバラードまで聴かせるのは、3人が個々のバンドで歌と演奏力を磨いてきたから。

 アルバムで披露している、つぼを押さえたハーモニーやバンドサウンドの中に沖縄の色彩を点描するような三線の旋律は大人向けかもしれない。

 「ファン層は子どもと30代以上。家族連ればっかり。ライブに20代がいたら目立つ」と言い切る3人。

 確かな音楽性を感じさせる新譜は税込み2500円。

きいやまツアー ラストは9月22日 沖縄市・音市場

 きいやま商店の全国ツアー最終日となる沖縄公演が9月22日午後6時半から沖縄市のミュージックタウン音市場である。前売り一般4千円、小学生以下1500円。3歳以下無料。問い合わせはピーエムエージェンシー、電話098(898)1331。