大きく振りかぶって、外角高めにノーバウンド投球。全国高校野球100回大会を記念する「レジェンド始球式」で15日、県出身の名投手、安仁屋宗八さん(73)が登板した。17日が74歳の誕生日とは思えない力強い直球に、早朝から満員の甲子園球場がどよめいた

▼広島、阪神で活躍したプロ野球選手時代、何度も投げたはずの甲子園のマウンドだが、高校野球の舞台としては沖縄高校(現沖尚)で44回大会に出場して以来56年ぶり。「きょうは緊張した。甲子園には魔物がいた」。ストライクが取れなかったことをちゃめっ気たっぷりに悔しがった

▼往年の名選手が連日登場する中、沖縄の元球児代表で終戦記念日の大役を任された。「平和だからこそ野球ができる。二度と戦争を起こしてはいけない」。かみしめるように語った

▼第2試合には県代表の興南が登場。四回裏の攻撃中、正午に合わせて両校の選手や4万人の観客が戦争で犠牲になった人たちに黙祷(とう)をささげた

▼春夏連覇を果たした2010年夏の2回戦も8月15日の第2試合で、試合前に黙祷があった。当時を思い出して勝利を願ったが、逆転はかなわなかった

▼2年生が多いチーム。ナインは口々に「来年、絶対に戻ってくる」と誓った。白球の行方に一喜一憂できる平和に感謝し、101回大会での県勢の活躍を待ちたい。(田嶋正雄)