社説

社説[米政権のメディア攻撃]民主主義の土台を崩す

2018年8月19日 07:50

 トランプ米大統領のメディア敵視はエスカレートする一方である。

 権力の座にある者が、批判的なメディアを煙たがるのは、民主国家であってもごく普通に見られる現象である。だが、トランプ氏の流儀は尋常でない。

 大統領自身が虚偽や誇張を含んだ情報をツイッターで流し続ける。政権に批判的なメディアや記者に対しては「フェイクニュース」のレッテルを貼り、感情的な言葉で攻撃する。

 2日にはツイッターで怒りをぶちまけた。

 「メディアの大半を占めるフェイクニュースは国民の敵だ」

 虚偽の情報やねじ曲げられた情報が事実であるかのように編集され、インターネットを通じて拡散される-それがフェイクニュースである。

 政治家の虚偽発言を監視している米国の専門サイト「ポリティファクト」によると、トランプ氏の出馬以降、偽ニュースや虚偽発言が格段に増えたという。

 危機感を抱いた全米のおよそ350紙の新聞社が16日、トランプ氏に反論する社説を一斉にインターネットで掲載した。

 ニューヨーク・タイムズは警鐘を鳴らしている。

 「気にくわない真実をフェイクニュースと主張し、記者を国民の敵ととがめるのは民主主義にとって危険だ」

 この問題は、民主主義をむしばむ危険な要素を秘めている。よそ事だととらえるべきではない。

■    ■

 世論形成に大きな影響力を持つ米地方放送局のキャスターが3月、フェイクニュース批判の同じ文言のコメントを一斉に発した。

 保守系の巨大メディアグループ「シンクレア」が、トランプ氏を支援するため、傘下の地方局に指示したものだという。

 米国では政権寄りのFOXニュースや右派メディアがトランプ氏を擁護する構図も定着している。

 国内の分断と対立は深まるばかりだ。

 フェイクニュースは会員制交流サイト(SNS)を通じて拡散され、真実よりも早く波及する。今や世界を席巻する勢いだ。

 きょうの米国は明日の日本の姿-という悠長な話ではない。

 日本を含む各国で問題が同時に顕在化しているのである。

 フェイクニュースが選挙に利用されれば、正確な情報が有権者に伝わらず、民主主義は次第に土台からむしばまれる。

■    ■

 米国では、政治家の虚偽報道を暴く「ファクトチェック(事実検証)」の試みが盛んだ。日本でもその分野の関心が高まっている。

 メディア不信は世界的な現象だといわれる。

 ネットの普及などさまざまな要因が考えられるが、「自分たちが見たい事実だけを見ているのではないか」との批判が増えているのは確かである。

 米国で起きている問題は、その意味でも、決してよそ事ではない。

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