自民党は、総裁選の日程を「9月7日告示-20日投開票」とすることを決めた。

 安倍晋三首相と石破茂元幹事長の一騎打ちになる見通しである。

 岸田文雄政調会長は早々と不出馬を決め、安倍支持を表明。野田聖子総務相は、立候補に必要な推薦人20人の確保が難航している。なぜ、出ないのか、出られないのか。

 自民党に限らず、党を活性化するためには、複数の候補者が開かれた場で政策を競い合うことが欠かせない。

 石破氏が公開討論を求めているのに対し、安倍氏は消極的だという。

 首相周辺からは「総裁選は党員や党所属議員ら限られた人にしか投票権がない。一般人にも届くような討論会をしても仕方ない」との声が漏れる-と、22日付の朝日新聞は報じている。

 総裁選は確かに、し烈な権力闘争ではあるが、そんなふうに閉じられた発想しか持ち得ないのは理解しがたい。

 議院内閣制の下では、衆参両院で多数を占める自民党の総裁が、国会で首相に選ばれる。総裁選は事実上の「首相選び」といっていい。

 自民党の総裁選は、他党の党首選と違って、特別な性格を帯びている。半面、投票資格を持つのは自民党所属の国会議員と全国の18歳以上の党員・党友に限られる。

 だからこそ、国民政党として、有権者の幅広い民意が適切に反映されるよう、複数の候補者による、開かれた、本格的な政策論争が求められるのではないか。

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 安倍首相は、9条1項、2項を残しつつ自衛隊を明記する憲法改正案に強い意欲を示す。念頭にあるのは、秋の臨時国会か、来年の通常国会だろう。

 だが、9条2項の削除を求める石破氏の9条改憲論は、首相案と異なり、9条改憲の緊急性、優先順位は低い、との姿勢を鮮明にしている。

 憲法9条改正については、安倍、石破、岸田、野田4氏の考えは一致していない。4氏が立候補し、総裁選を通じてその違いを明確にすればよかったのだ。

 安倍氏は、自らの改正案について、自衛隊の任務や権限は変わらない、と主張する。仮に国民投票で否決されても自衛隊が合憲であることに変わりはない、という。

 そこまで言うなら、なぜ、9条改憲を急ぐのか。

 石破氏だけでなく、岸田、野田両氏も立候補し、首相を含む4氏がそれぞれの見方を明らかにし、国民に考える材料を提供すべきであった。

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 「安倍1強」の下で、行政(安倍官邸)の権限が肥大化し、それをチェックすべき国会の「監視機能」や「討議機能」が著しく低下している。これも重要な論点だ。

 現在の自民党は、異論が封じられ、官邸が右を向いたら全員が一斉に右を向く状態に陥っていないか。安倍首相のお友達や思想傾向が同じ人たちが重用され、多様性が失われつつあるのではないか。

 総裁選と沖縄県知事選は選挙期間が一部重なる。「安倍1強」の是非を両選挙で論じてもらいたい。