棹(さお)がクロキ(くるち)の三線は音色に重みがある。県三線製作事業協同組合理事長の渡慶次道政さんは琉球古典音楽や民謡界の「くるち信仰」を肌で感じる。それだけに県産くるちがほとんど採れない現状に危機感を抱く

▼組合が2年前に調べると県内の三線は推定で約82万丁あるものの6割以上は外国産の木材とみられた。純粋の県産くるちは10万丁前後。総数は徐々に伸びるが、ほとんどは輸入など代わりの木材が使われる

▼愛好家から最も尊ばれる、くるちによる三線づくりを当たり前にできるようにしたい-。読谷村で10年前、夢のある取り組みが始まった。「くるちの杜100年プロジェクト」である

▼座喜味城跡公園に順次植えられた約3千本を月に1度、50~60人が草刈りを続ける。樹齢100年となる日を見ることはない。子や孫の世代のため、今できることをやろうと夢を追い続けている

▼ヒット曲「島唄」で知られるミュージシャンの宮沢和史さんは中心人物の一人。「ぼくたちがなんとか踏ん張れば次の世代にバトンを渡せられる」と言う

▼くるちの育樹は子育てに例えられる。8年間ほどしっかりと手をかければ後は自然に育ち徐々に幹を太くする。次の世代に責任を持ち努力を重ねる関係者たち。その姿は三線材の確保にとどまらず、人づくりをしているようだ。(溝井洋輔)