中央省庁が雇用する障がい者数を水増ししていた問題は、地方自治体にも拡大するばかりである。県内でも県教育委員会と県病院事業局で障害者手帳などを確認しないまま雇用者数に算入していたことが分かった。

 中央省庁や自治体は率先して障がい者が個々の能力を発揮できるよう働きやすい環境を整えなければならないのに、逆に働く機会を奪っていたのである。障がい者団体が強く非難するのは当然だ。

 県教委は自己申告に基づき雇用数に計上していた。県病院事業局は採用後に障がいを負った職員について同じく自己申告で算入していた。

 いずれも「水増しの意図はない」とする一方で、「疑義を持たれてもしょうがない」(県病院事業局)と不適切な算入であることを認めた。今後は国のガイドライン(指針)に従って障害者手帳の確認をしていく方針という。

 厚生労働省のまとめによると、2017年6月現在、今回疑義が出た県教委の障がい者雇用率は2・26%で平均2・23%を上回り、県病院事業局も3・10%で平均2・54%を大きく超えている。

 今回発覚した不適切な算入によって実態が反映されていなかった可能性がある。

 県教委も県病院事業局もいつから、なぜ不適切な算入を続けたのか、経緯を含め、県民が納得できる説明をする責任がある。

 県内企業は障がい者雇用に積極的である。雇用率2・43%は平均の1・97%を上回り全国6位である。中央省庁や自治体の不正は企業に対する裏切りでもあるのだ。

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 中央省庁の水増しは共同通信の調べで11府省庁に上る。

 国のガイドラインに反し、障害者手帳などを確認せずに雇用数に算入していた人数は3千人台に膨らみそうだ。中央省庁は約6900人を雇用していたと発表しており、大量に偽っていたことになる。

 障がいのある人も活躍できる共生社会の旗振り役を担う中央省庁の不正である。弁解の余地はない。

 国の33行政機関の昨年の障がい者雇用率は2・49%で当時の法定雇用率を上回ったと発表していたが、水増し分を除くと複数の機関で実際の雇用率が0%台になる。驚くほかない。

 障害者雇用促進法では、民間企業が3年に1度、障がい者数の算定根拠となる障害者手帳などの点検を受けるのに対し、中央省庁や自治体はその仕組みがない。常態化した要因とみられるが、不正が許される理由にはならない。

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 雇用率制度をつくった政府自身がルールを破って長年水増しの不正を続けていることをみれば、障がい者雇用を本気になって促進する気があるのか疑わざるを得ない。

 政府は都道府県を対象に全国調査に乗り出す方針だ。だが、これだけでは不十分である。信頼回復には当事者である障がい者団体などを含む第三者委員会を立ち上げて徹底的に調査する必要がある。

 その上で、政府は障がい者雇用に真(しん)摯(し)に取り組む姿勢を示すためにも、再発防止策を早急に提示する義務がある。