米共和党の重鎮ジョン・マケイン上院議員が25日、死去しました。本紙米国特約記者の「平安名純代の想い風」でマケイン氏を取り上げた回を再掲載します。

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 「よく覚えているよ。あれは胸が張り裂ける出来事だった」

 昨年12月、ある議員の招きで参加した集まりでバイデン副大統領の姿を目にした。

 約20年前、当時は上院議員だった同氏は本会議で、沖縄で起きた米兵暴行事件に激しい怒りを表明し、米兵らを強い口調で非難したことがある。

 果たしてあの時のことを覚えているだろうかと質問すると、バイデン氏は目を細めながら大規模抗議集会が開かれたことなども覚えていると話してくれた。

 バイデン氏が再び沖縄の味方になってくれないものかと思いをはせる一方で、和やかに談笑する有力議員らの姿を前に、沖縄にとって厳しい季節の始まりを感じていた。昨年11月の中間選挙で共和党が多数派を占めたのを機に、米議会の風向きは急変しつつある。

 辺野古計画を見直すよう米政府に圧力をかけ、水面下で激しい攻防を展開してきたレビン前上院軍事委員長が引退し、マケイン氏が後を引き継いだ。

 同氏はかつてレビン氏らと肩を並べ、米政府に辺野古再考を要求してきたが、安倍政権の誕生後は自民党との連携強化を重視し、辺野古容認へと転じている。

 現行計画を堅持する米政府を動かすには、予算の承認権限を握る米議会の圧力が最も効果的だ。米議会で最も影響力を持つ重鎮議員らが辺野古計画は非現実的で米国益にかなうものではないと正面から反論し、予算を凍結して再考を迫るという沖縄にとって最大の好機は過ぎ去ってしまった。

 米国ではオバマ大統領が20日に一般教書演説をした後、国防総省が各軍の予算を公表し、それを受けて議会が審議を始め、3月には米軍幹部などを招いた公聴会が開かれる。翁長雄志県知事らが訪米を予定する4月以降は、米国防予算の大枠を決める国防権限法案の骨格を固めるころだ。

 米政府を動かすには、有力議員らに早急にアプローチし、公聴会で沖縄の民意を証言する機会や、国防権限法案に沖縄の意向が反映されるような条項の盛り込みを要請するなど具体的戦略が必要だ。前県知事による埋め立て承認は沖縄の意思だと解釈する米議会から突き付けられるであろう疑問に答える必要もある。

 米側との交渉の成否の鍵を握るのは、決定権を持つ当事者とのタイムリーな交渉ができるかどうかだ。

 工事が再開された辺野古では、体を張って抵抗する県民を排除する態勢がさらに強化されている。残された時間は限られている。(平安名純代・米国特約記者)