大弦小弦

[大弦小弦]公開中の韓国映画「タクシー運転手 約束は海を越えて」は…

2018年8月28日 08:26

 公開中の韓国映画「タクシー運転手 約束は海を越えて」は1980年5月、軍事独裁政権下で起きた光州事件が舞台。戒厳令で孤立させられた光州で、市民らの民主化運動が軍の精鋭部隊に鎮圧され、160人以上が殺された

▼丸腰の市民が軍に無差別銃撃されているのに、光州の外には人々の平穏な生活がある。ニュースを眺めながら「暴徒が兵士を殺してるってよ」「怖いねえ」。同じ国にいながら、まるで伝わらない真実

▼当時の韓国民が事件を知らなかったのは、政府発表のフェイクニュースをメディアが垂れ流したから。事実を伝えようとする記事のスペースは空白にされた

▼38年前の光州が辺野古や高江の座り込み現場と重なる。「反日のプロ市民」「日当をもらってる」「韓国人、中国人ばかり」…。デマを流布して国家の暴力を正当化するのは、権力側の常とう手段だ。世界のどこかに「光州」がある

▼タブーだった事件の真相を光州市民が語るようになったのは、民主化を勝ち取った87年以降。時は過ぎ、事件を知らない若者が増えていることに危機感を抱いたチャン・フン監督が映画化に踏み切った

▼全編重くなりそうなテーマなのに主人公は三枚目。珍道中に笑いあり、派手なアクションありのエンターテインメント作品にして伝えようとする。韓国映画人の気概がすごい。(磯野直)

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