幅広い世代から人気を集めるアニメ「ちびまる子ちゃん」の魅力は、つい自分の体験を重ねて笑い、懐かしみ、しみじみと感じられるところだろう

▼何げない家族の日常や会話、学校、近所の話…。亡くなった漫画家のさくらももこさんが描くと、温かいコメディーに変わる。作風は多くの人に愛され、突然の訃報にファンや著名人からも惜しむ声が相次ぐ

▼「まる子」はさくらさん自身だ。お気楽に過ごした幼少期、ちょっと頼りないが憎めない父、家族に何かと心配をかける姉など多くのエピソードが「ちびまる子ちゃん」の原点となっている

▼アニメ作品で、祖父友蔵がまる子の誕生日に年金をはたいてすし屋に行く話には、結局予算が足りずに買ったばかりのプレゼントをおもちゃ屋に返しに行くというオチ。日常の出来事を面白く、時には皮肉も交えて描く

▼エッセーの中では、二十歳を迎えた日に、人生を切り開く決意で「真っすぐ歩こう」と町を歩いた話がある。人が行き交う商店街、木々の揺れ、子どもたちの笑い声に、生きているだけでいいと感じたという。それが作家活動の大きな糧になっていると

▼53歳の短い人生だったが、真っすぐな目線で人間の機微を見つめた。鋭い観察眼が生んだ作品は、個性的なキャラクターとともに、今後も多くの人を魅了し続けるだろう。(赤嶺由紀子)