「体調も徐々に回復しており、医師と相談して政務に復帰する時期を考えたい」と、甘利明前経済再生担当相が一昨日、コメントした

▼あっせん利得処罰法違反で不起訴処分(嫌疑不十分)になったことを受け、みそぎを終えたかのような発言である。2月中旬に「睡眠障害」の診断書を提出して国会を欠席し続けたからだが、まずはご本人による説明が先だろう

▼それにしても摩訶不思議な法律である。道路工事の補償交渉を巡って、千葉県の建設会社から、甘利氏の元公設秘書が500万円、甘利氏が計100万円を受け取り、秘書が補償費を支払う都市再生機構(UR)に接触したのはご承知の通り

▼建設会社の担当者は、共同通信の取材に「補償交渉を有利に進めるため、口利きをしてもらった謝礼や経費」と説明した。これほど事実関係が明確でも、東京地検は「議員の権限に基づく影響力」を行使したとは認められないと判断するらしい

▼元検事の郷原信郎弁護士は「法の成立要件を不当に狭く解釈した」と批判する。そもそも口利きを取り締まるため2001年に施行された同法で、国会議員の立件はない

▼議員立法でザル法を作ったのも国会議員。自らを律する法が緩すぎるようでは、政治不信どころか立法府の返上を求めるブラックジョークが出てきてもおかしくない。(与那嶺一枝)