政治情勢がどう転ぶか分からないから、とりあえず前年と同額にしておいて推移を見守る。いわゆる「仮置き」。米軍再編の関係予算を8月末に概算要求する際、防衛省が決まって用いる手法だ

▼とりわけ、辺野古新基地問題などがある沖縄の動向を念頭に置く。情勢次第で大規模な工事をするのかどうかに関わるので、基地政策上、分からなくもない。これが経済振興に絡む予算なら意味合いは変わる

▼内閣府は2019年度の沖縄関係予算の概算要求で前年度と同じ3190億円を求める。もちろん、個別の項目に増減はあり、丸ごと金額を据え置く基地予算とは違う

▼だが、こんな筋書きが政府関係者から聞こえてくる。「知事選で政府・与党が推す候補が勝てば年末の予算編成で上積み、そうでなければ厳しく査定する」。この事業がなぜ必要なのかという理屈付けは二の次だ

▼政府関係者はこうも言った。「今の役人は官邸に逆らえない。要求額は前年同額と決められれば従わざるを得ない」。総額ありきで帳尻を合わせた振興策に説得力はあるのか

▼政治が最終的に決める。それが大原則なのはその通り。ただ、政治があらぬ方向に進みそうな時、論理的思考で具申するのも専門家集団たる官僚組織の務めではないか。忖度(そんたく)するなとは言わない。国民に奉仕する矜持(きょうじ)が見たい。(西江昭吾)