旧コザ市で結成され57年を迎えた演劇集団「創造」。旗揚げ公演からの団員で、その人脈を生かしつつ文化行政にかかわった旧具志川市教育部長の又吉英仁さん(76)が半世紀余の歩みを「一隅を照らす-明きてぃん暮りてぃん」にまとめた

▼「他人のやらないことをやれ」と自らに言い聞かせ、心の豊かさを市民に届けようという気概が記される。マンネリを嫌い、時代に即した新しさを生み出そうとアンテナを張り巡らせ、立ちあげた事業は多い

▼「椎の川」(大城貞俊著)の入賞で知られ全国的に注目を集めた1千万円懸賞小説。県内で先駆的な文化拠点を掲げた市民芸術劇場では初代館長として自主企画を展開した。獅子舞フェスティバルや沖展選抜展でも中心的役割を担った

▼「創造」を裏方として長年支えてきたが「タンメーたちの春」を書き、幸喜良秀さん演出で2年前に公演した。個性豊かな5人のお年寄りの戦後の歩みをしまくとぅばで描いた74歳のデビュー作である

▼12月に市民芸術劇場で開かれる公演に向け、タンメーの回想に昆布の土地闘争やコザ騒動、軍用地主の悲哀を加筆した。新たな角度から沖縄の実情を表現した

▼沖縄の不条理を照らすというぶれない軸を置き、周囲を引きつける何かを追い求める又吉さん。常に挑戦し続ける姿勢と行動力を見習いたい。(溝井洋輔)